- Start Date
- 2025/07/29
- End Date
- 2025/07/30
- Event Name
-
『DXソリューションフェア2025』
- Event Details
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ー チルトローテータ機等実機多数 DXを体験できる展示会 ー
土木・建築・測量セミナー&展示会日程:2025年7月29日(火) 9:00~17:00、30日(水) 9:00~16:30
会場:広島県立広島産業会館 東展示館(広島県広島市)
主催:株式会社ジツタ中国
- URL
- https://jtch-info.com/dx2025/
- Target
- _blank
働き方
仕事のモチベーションを維持するコツは?建設業におけるメンタルヘルス対策

体力的にも精神的にもタフさが求められる、建設業のフィールドワーク(現場の仕事)。厳しい天候の中での作業や工期のプレッシャーが続くと、気づかないうちに疲れやストレスが溜まってしまうこともあるでしょう。
そのような環境でも、仕事へのモチベーション(やる気)を維持できれば、フィールドワークをはじめとする日々の業務を前向きにこなすことができ、ストレスの軽減にもつながります。逆にモチベーションが下がってしまうと、集中力が途切れたり、作業ミスにつながったりすることも。安全第一で働くためにも、心の健康を意識することは重要です。
建設業で、なぜメンタルヘルス対策が重要なのかについて紹介した上で、モチベーションを保つコツや、企業が実施しているメンタルヘルス対策の事例を紹介します。
建設業におけるメンタルヘルスの問題の発生状況

メンタルヘルスとは、心の健康状態を指す言葉です。仕事のプレッシャーや人間関係の悩みが続くと、メンタルヘルスが悪化しやすくなり、うつ病や不眠、集中力の低下といった不調につながります。一方で、メンタルヘルスが整っていると、仕事のパフォーマンスが向上しやすく、人間関係も円滑になるなど、ポジティブな影響がもたらされます。
厚生労働省の「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、建設業でメンタルヘルス不調により長期休業・退職した労働者がいた事業所の割合は、全産業平均の13.5%と比較して、10.3%と低いことがわかります。
しかし、他産業に比べて少ないとは言え、約1割の人がメンタルヘルスの不調によって長期間の休業や退職を余儀なくされているのは事実です。また、問題が潜在化しているリスクや、職種による偏りも考慮する必要があり、この数字は決して楽観視できるものではありません。
建設業でメンタルヘルス対策が重要な理由

2015年(平成27年)の労働安全衛生法の改正に伴う「ストレスチェックの実施義務化(ストレスチェック制度)」以降、ストレスチェックやカウンセリングを導入し、メンタルヘルス対策に取り組む企業が増えています。
特に建設業では、メンタルの不調による判断力やパフォーマンスの低下が現場の安全や作業効率に大きな影響を及ぼすため、より一層の対策が必要と言えるでしょう。
労働災害のリスクが高まるから
建設業のフィールドワークは身体的な負担が大きく、天候や工期のプレッシャーにもさらされます。さらに高所作業や建機の操作など、集中力が求められる場面も少なくありません。こうした状況でメンタルヘルスが不調になると、注意力が散漫になり、労働災害のリスクが高まります。安全確保のためにも、メンタルヘルス対策は重要です。
作業効率や生産性が低下するから
ストレスや不安は、判断力や作業スピードの遅れを引き起こします。特に建設業はチームワークが重要であるため、フィールドワーカー1人のパフォーマンス低下が、現場全体の進捗にも悪影響を与えかねません。
さらに、長期間にわたってストレスが蓄積すると、体調不良に陥り、長期離脱につながる恐れもあります。結果として、人員不足や工期の遅れといったリスクが高まってしまいます。
現場の人間関係に悪影響が出るから
メンタルヘルスの不調は、イライラしやすくなったり、周囲とのコミュニケーションを避けたりする要因となります。フィールド(現場)ではスムーズな連携が不可欠ですが、関係性がギクシャクすると、小さなミスがトラブルに発展することもあります。結果的に作業効率が低下し、さらなるストレスを生む悪循環に陥りかねません。
働き続けるのが難しくなるから
精神的な負担の増加は、仕事へのモチベーション低下につながります。最悪の場合、離職を考える人もいるでしょう。
建設業界は慢性的な人手不足に直面しているため、メンタルヘルスの不調による離職者が増えると、残された従業員の負担はさらに大きくなってしまいます。その結果、パフォーマンスが低下し、現場の進行が滞る負の連鎖に陥りかねません。
建設業において発生しやすいストレスの原因

メンタルヘルスの問題は、過度なストレスによって引き起こされます。特に建設業では、以下のようなストレス要因が発生しやすいと考えられます。
外的要因の影響を受けながらの工期厳守
建設業では、プロジェクトの期間が長期にわたることもあり、厳密な工期管理が求められます。しかし、天候や自然災害といった予測困難な外的要因によって、作業が中断されることも少なくありません。それでも工期を厳守しなければならないため、現場には大きなプレッシャーがかかります。結果として現場の負担が大きくなることが、ストレスの要因となります。
作業に対する不安やプレッシャー
フィールドワーカーは、常に安全を意識し、細心の注意を払う必要があります。特に高所作業や建機の使用、危険物の取り扱いなどのリスクを伴う業務においては、心理的なプレッシャーが大きくなりがちです。
長期的にわたってこのような環境で働き続けると、ストレスを感じる場面が多くなるでしょう。また、命に関わるリスクを伴う業務では、不安やプレッシャーによって集中力が低下し、結果的にパフォーマンスにも影響を及ぼすことがあります。
建設業特有のコミュニケーションの難しさ
建設現場では、現場監督や各種技術者・技能者といった複数の職種の人々が協力して作業を進めます。そのため、専門用語や作業手順の違い、情報伝達のミスなどが原因の誤解が生じやすく、ストレスにつながりかねません。
また、現場によっては、これまでの慣習からか、若手のフィールドワーカーが自由に発言しにくい雰囲気が残っていることも課題です。コミュニケーションがうまく取れないと作業効率が悪化するだけでなく、不満や摩擦が生じ、無用なストレスが生じてしまいます。
さらに、作業の進行状況をめぐる衝突や、タスク分担における不満、責任の所在に対する考え方の違いなどが、チーム内の人間関係を悪化させることも少なくありません。このような人間関係のトラブルは、メンタルヘルスに大きな悪影響を及ぼすと言えるでしょう。
ストレス軽減とモチベーション維持のためのメンタルヘルス対策|ハード面

建設業においてストレス軽減とモチベーション維持は、作業効率やチームワークの向上に直結します。特に事業者が行うべきハード面の対策は、作業環境の整備や物理的な負担の軽減に焦点を当てるべきでしょう。
作業環境の整備
屋外作業の多いフィールドワークでは、夏は熱中症、冬は防寒対策をしっかりと行い、フィールドワーカーが安全かつ健康に働ける環境を整備することが求められます。また、性別を問わずに働きやすい環境の整備も急務です。
厚生労働省が運営するポータルサイト「こころの耳」では「職場のメンタルヘルス対策の取組事例」を検索できます。例えば、宮城県の徳和工業株式会社では、ファン付き作業着の無料配布やスポーツドリンクの購入代負担、喫煙に対する報奨金制度を実施しています。
そのほかにも、以下のような取り組みは有効と考えられるでしょう。
取り組みの例
・作業スペースの整理整頓
・足場の補強や、滑り止め・安全フェンス・警告灯の設置など、安全対策の強化
・騒音対策や、適切な照明・換気設備の確保
・熱中症対策(冷却材や保冷材の提供、飲料の提供、体温管理システムの導入)
・防寒対策(ヒーターや暖房設備の設置、防寒用具の支給)
・休憩スペースの確保、リラックスできる環境の提供
建設業では大きな騒音が発生する作業もあり、これが長期間続くと「騒音障害(騒音性難聴)」を引き起こす恐れがあります。このようなリスクを防ぐためにも、事業者には適切な騒音対策を講じることが求められます。
厚生労働省は2023年4月に「騒音障害防止のためのガイドライン」を改定しました。これにより、騒音レベルが高い業務を行う際には、低騒音型機械の導入や、耳栓・耳覆いの着用といった具体的な対策が必要とされています。
また、2025年6月1日からは、職場での熱中症対策が罰則付きで義務化される予定です。これにより、暑さ指数の管理や熱中症予防教育、作業環境の改善といった積極的な対策がいっそう求められます。
建災防方式健康KYと無記名ストレスチェックの導入
建設業に特化した安全衛生対策を推進している建設業労働災害防止協会(建災防)では、建設現場におけるメンタルヘルスの向上と職場環境の改善を目的とした取り組みを行っています。
その中でも「建災防方式健康KYと無記名ストレスチェック」は、現場でのメンタルケアに効果的な手法として活用されています。
建災防方式健康KY
建災防方式健康KYは、日常的な声がけを通してフィールドワーカーの小さな変化に気づくきっかけとなり得る、簡便かつ優れた取り組みです。メンタルヘルスの専門的な診断を代替するものではありませんが、初期の気づきを得るための手段として有効でしょう。
健康KYでは、睡眠、食欲、体調に関する3つの問いかけを職長からフィールドワーカーに毎日行い、体調変化の状況を把握します。以下の問いかけを通して、姿勢や動作、表情、目、会話などからいつもと違う様子がないかを観察します。
作業前の健康確認項目(健康KY)
問いかけの上で心配な際は、職長が上長へ報告を行うとともに、より詳しい健康状態を確認するため「睡眠スコア」を実施します。
睡眠スコアの確認項目
1. 寝つくまでに30分以上かかることが、時々ある
2. 毎日のように、寝つきが悪い
3. 夜中に目が覚めることがあるが、再び寝つける
4. 夜中に目が覚め、寝床を離れることが多い
5. 普段より早朝に目が覚めるが、もう一度眠る
6. 普段より早朝に目が覚め、そのまま起きていることが多い
【参考】建設業労働災害防止協会(建災防)「建災防方式健康KYと無記名ストレスチェック」
睡眠スコアの点数に応じて、事業者への報告や、地域産業保健センターなどの相談機関の紹介を行います。
無記名ストレスチェック
「無記名ストレスチェック」は、職場環境の改善点を把握し、集団的な対策を講じる上で有効な手法です。安全朝礼をはじめとする、フィールドワーカーが集合するタイミングで一斉に実施します。分析結果をもとに、職場環境の改善やメンタルヘルス対策を講じることができます。
無記名ストレスチェックの当日、安全朝礼の場において現場所長等から無記名ストレスチェックの趣旨及び実施方法を説明した後、元請社員及び作業員等に調査票を配布し回答してもらいます。回答・回収にかかる時間はおおよそ5〜10分程度です。全員の回答が終わったら、その場で速やかに回収し、無記名ストレスチェック実施者に回答済み調査票を送付します。
【参考】建設業労働災害防止協会(建災防)「建災防方式健康KYと無記名ストレスチェック」
無記名ストレスチェックは、フォローアップ体制を伴えることで、初めてその効果が発揮されます。相談窓口の周知や利用しやすい雰囲気づくり、必要に応じた専門家の紹介などを通して、高ストレス者のサポートを行いましょう。
ストレス軽減とモチベーション維持のためのメンタルヘルス対策|ソフト面

物理的な作業環境の改善だけでなく、職場の人間関係やコミュニケーションの向上も、ストレス軽減には欠かせません。組織文化やコミュニケーションの質を向上させることで、メンタルヘルスを守りながらモチベーションを高める職場環境をつくることができるでしょう。
コミュニケーションの強化
フィールドワーカーのメンタルヘルスを支えるためには、コミュニケーションの強化が不可欠です。定期的なミーティングや面談を通じて、進捗状況や問題点を早期に共有し、適切な対応を行いましょう。
良い点や改善点を互いに伝え合うフィードバック文化の醸成や、メンタルヘルスに関する不安や悩みを気軽に相談できるサポート体制の整備なども効果的です。
目標設定と成果の共有
フィールドワーカーのモチベーションを維持するためには、明確な目標設定と、その達成度を可視化する仕組みづくりが不可欠です。目標を具体的に設定し、小さな成功体験の積み重ねによって達成感を得ることは、ストレス軽減にもつながります。さらに達成した成果の共有を促し、適切に評価することで、おのずとチーム全体の士気も高まるでしょう。
企業が従業員のモチベーション維持を実現した取り組み事例

企業が主体となって働き方改革を推進することで、従業員のモチベーション向上に直接的かつ大きな影響を与えます。特に最新技術やDXの導入は、業務効率化や安全性の向上に寄与します。
国土交通省が2023年(令和5年)に発表した「建設業における働き方改革推進のための事例集」から、3つの事例を紹介します。
ICT建機の導入
神奈川県の⼩雀建設株式会社は、⽣産性向上のための取り組みとして、ICT建機を導入。GNSSによる位置情報の取得により準備にかかる工程が簡素化されたほか、フィールドワーカーが建機に近づく機会が減り、労働災害リスクが低減されました。また、出来形管理のデータ取得が容易になったことで、30〜40%の人員削減が⾒込めるともされています。
施工管理アプリの活用
福岡県の⽇建建設株式会社は、施工管理の多機能アプリを活用し、多くの業務を効率化することに成功しました。また、現場に定点カメラを設置して状況をリアルタイムで把握し、所長の移動コストを削減。
さらに、タブレット端末を1人1台支給することにより、その場での作業指⽰や精度の⾼い打合せを可能にし、よりスムーズなコミュニケーションを実現しています。
処遇の改善
北海道の伊藤組⼟建株式会社が注力したのは、従業員の処遇改善でした。具体的な活動としては、クラウドでの出退勤管理の導入と有給休暇の計画付与、ならびに取得率向上に向けた啓蒙の強化が挙げられます。これにより、労働時間の縮減や有給休暇の取得率向上、職員のモチベーションの向上など、さまざまな効果の創出に成功しています。
担当者によると、ワークライフバランスへの寄与や、新卒採用への好循環も実感しているとのこと。有給休暇の取得率は、56.3%(2019年)、64.2%(2020年)、67.9%(2021年)と増加をたどっています。
従業員がモチベーションを維持できる仕組みづくりを
建設業において、ストレス軽減とモチベーション維持は業務の効率化や安全性向上に直結します。そのためには、物理的な作業環境の整備(ハード面)と、職場の人間関係やコミュニケーションの向上(ソフト面)の両方からのアプローチが不可欠です。
ただし、ハード面における新しい技術やシステムの導入が、一部のフィールドワーカーにとっては新たな学習負担や適応ストレスとなるリスクもゼロではありません。導入時の丁寧な説明や研修、サポート体制とともに、一人ひとりのメンタルヘルスの変化に気づける仕組みを整えることが重要です。建災防方式健康KYや無記名ストレスチェック、全体的なコミュニケーションの改善などは、そのための良い手段となり得るでしょう。
建設業の従業員がメンタルヘルスを良い状態に保ちながら働き続けるためには、企業と従業員の協力が欠かせません。企業側は作業環境の改善やメンタルヘルス対策を講じ、従業員は自身のモチベーションを維持するために工夫をすることで、双方が良い結果を得られるよう、取り組みを続けていきましょう。

監修者 山路 和英(やまじ かずひで)
公認心理師・社会福祉士・心理学ライター
大学卒業後、精神科クリニックや福祉施設にて、様々な年代の方の心理的な支援に携わる。その経験を活かし、現在は心理学ライターとして、心の健康やウェルビーイングに関する情報を分かりやすく発信。専門知識に基づいた丁寧な解説と、読者に寄り添う温かい文章が強み。セミナー講師としても活動中。
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日程:2025年7月23日(水) 12:00~17:00、24日(木) 9:30~17:00
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日程:2025年7月15日(火)・16日(水) 9:30~17:00
会場:一般財団法人みやぎ産業交流センター 夢メッセみやぎ 西館ホール展示場(宮城県仙台市)
主催:株式会社テクノシステム
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