- Start Date
- 2025/06/18
- End Date
- 2025/06/21
- Event Name
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第7回 国際 建設・測量展(CSPI-EXPO 2025)に出展
- Event Details
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日程:2025年6月18日(水) - 2025年6月21日 (土)
会場:幕張メッセ 1~6ホール・屋外展示場・屋外展示場ANNEX
主催:国際 建設・測量展 実行委員会
- URL
- /content/topcon-pa/jp/ja/events/2025/cspi-expo-2025.html
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時事問題
2025年の崖とは?土木・建設業の課題を解消するDX実例を紹介

経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」で提唱された「2025年の崖」。企業の既存システムの老朽化などが原因で、2025年以降に最大12兆円の経済損失が発生するリスクを指した言葉です。
2025年の崖は、企業に対してDXの必要性を訴えています。建設業(土木・建築業)が抱える慢性的な人材不足や就業者の高齢化、技術継承の難しさなどの問題を打破するためにも、DXは最優先課題のひとつと言えるでしょう。建設業のDXにフォーカスし、その最新動向を解説します。
2025年の崖とは?

日本が超高齢化社会を迎える2025年以降、社会構造や体制には大きな変化が予想されます。2025年の崖は、その変化がもたらす2025年問題のひとつに数えられる現象です。
初めてこの言葉が登場したのは、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」という資料でした。このレポートでは、国内企業が市場で勝ち抜くためにはDXの推進が必要不可欠といった内容が記されています。
DXを推進しなければ業務効率・競争力の低下は避けられず、2025年からは年間約12兆円もの経済損失が発生すると予測し、これを2025年の崖と表現しています。
改めて考えたいDXの必要性

DXとは、IT技術が浸透することでもたらされる変革のことです。DXは、生産性向上や業績向上に直結する重要な役割を担っています。DXの導入が遅れるほど企業が受ける損失が大きくなることは先述の通りですが、十分にDXが浸透している企業はまだまだ少ないのが現状です。
DX推進への足枷となっているのが、既存のシステム(レガシーシステム)を使い続ける企業が多い現状です。アナログ業務が多い建設業も例外ではありません。
レガシーシステムを使い続けると、貴重な労働力が保守・運用に割かれるといったデメリットが生じるため、それを事前解決へと導くためにも、今がDX推進のチャンスと言えるでしょう。
DXによって解決が見込める建設業の課題

来るべき2025年の崖に備え、より多くの企業が積極的にDXに取り組み出しています。建設業界が抱えるさまざまな課題を考慮すると、DXの推進は活路になり得ることが分かります。
慢性的な人手不足
国土交通省が発表した「建設業(技術者制度)をとりまく現状」によると、2022年(令和4年)の建設業の就業者数は479万人。20年前の2002年(平成14年)平均からは約22%減少しています。また2022年度(令和4年度)の建設業への入職者は約22万人で、2002年度の入職者より約60%も減少しました。
また建設業は製造業に比べると離職率が高く、若年入職者の確保に課題を抱えています。一説によると、2025年の建設業界における人手不足は、約90万人にのぼるともされています。
技能者の高齢化
建設業に従事する人が減っている一方で、65歳以上の高齢者が占める割合は上がっています。また、2025年は、第2次世界大戦後のベビーブームで生まれた団塊の世代が75歳以上となり、超高齢化社会を迎える年でもあります。
熟練した技術者が持つ業務のノウハウが、若い世代へ継承されなくなってしまうことが危惧されています。技術者が高齢化により退職しつつも若手が増えないとなれば、最悪の場合、事業の継続が難しくなってしまいます。
生産性の低さ
建設業は他業種に比べて労働生産性が低いことも問題として挙げられます。その理由のひとつは、慢性的な人材不足や就業者の高齢化です。労働集約型の建設業では、重機や機械を取り入れても人の力に頼る部分が多く、労働力の質によって生産性が左右されます。
しかし深刻な人材不足から、作業の遅延や長時間労働の解消は困難に。建設プロジェクトは複数の専門業者や協力会社が関わるため、遅延や作業の重複などが発生すれば、全体の生産性に悪影響を及ぼします。また天候や地形などさまざまな影響を受けることも、業務の標準化や効率化を実現しにくい要因と言えるでしょう。
働き方改革と2024年問題
人手不足や生産性の問題に追い打ちをかけるのが、働き方改革と2024年問題です。2019年(平成31年)に施行された働き方改革関連法による労働基準法改正を受け、多くの企業で時間外労働についての是正が図られています。
改正労働基準法では、時間外労働の上限が原則として月45時間/年360時間と定められ、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできません。改正労働基準法は、大企業では2019年(平成31年)4月から、中小企業では2020年(令和2年)4月から適用されています。
しかし慢性的な人材不足を抱える建設業では長時間労働が常態化している現状があります。災害時の復旧工事などでは臨時対応が常に求められるため、例外として5年の猶予が設けられていましたが、その猶予が解かれたのが2024年(令和6年)であり、これが建設業界の2024問題です。
建設業界におけるDXの実例

人手不足や高齢化といった建設業が抱える深刻な悩みには、デジタル技術で解消できるものが多くあります。多くの企業ではまだ完全に浸透していないものの、業界内外の認識が高まるにつれ、DX導入は加速する見込みです。建設業界における実例を参考にしてみましょう。
BIM/CIM:設計や施工の効率化

BIM/CIMは、国土交通省が建設業の生産性革命のエンジンと位置づけ推進している技術です。三次元モデルを用いて設計と施工の効率化を図ります。三次元化されたデータは計画段階から施工、維持管理に至るまでデジタル連携が可能です。
<活用事例>
・現場説明
CIMモデルの活用により、通常は数日かかる地元説明が1日で終わったケースも。従来の図面と異なり、三次元データで表現するため可視化の効果が大きく、理解促進につながります。
・検討時間の短縮
CIMモデルを線形検討に活用し、検討に費やす時間を1/4に短縮できた事例もあります。安全対策が必要な箇所を抽出しやすくなり、速やかな施工計画に役立ちます。また、BIMを通じたデジタルデータ活用の効果検証では、竣工後の運用準備作業における工数が69.5%削減できた事例も。
・若手技術者の理解促進
3Dモデルによる「見える化」によって、受発注者がイメージを共有しやすく合意形成を円滑に進められます。特に現場経験が少ない若手技術者の理解速度が飛躍的に向上したという報告もあります。
【参考1】国土技術政策総合研究所「BIM/CIM 事例集 ver.1」
【参考2】国土交通省「BIM を活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業 効果検証・課題分析事例集」
ICT建機:フィールドワークの効率化

ICT建機とは情報通信技術(ICT)を取り入れた建機で、マシンコントロール(MC)やマシンガイダンス(MG)などの機能を搭載しています。ICT建機の導入により、建設工事業務の効率化や生産性向上が期待できます。
<活用事例>
・ICTバックホウ(油圧ショベル)活用
ICTバックホウの活用により丁張りがなくても設計との高さを確認しながら施工が可能になるため、丁張り設置の手間の省力化により作業効率を大幅に高められます。敷均作業をICTバックホウのみで行うことで、労務費削減にもつながった事例が報告されています。
・実務経験の浅いオペレーターの運転をサポート
MC建機はコンピューター制御で運転をサポートするので、人的コストを大幅に削減できます。施工日数を15日削減できたという事例も報告されています。
【参考】国土交通省「ICT活用における課題と対応事例」
ドローン:測量や施工管理の効率化

2022年の改正航空法で、レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)が解禁されました。活用の幅が広く、大がかりな人員や設備を必要としないため使い方次第で大幅なコスト削減が可能になるでしょう。
<活用事例>
・測量や調査
従来は測量機器を人が持ち歩いて測量していたため、時間と労力、コストもかかっていました。ドローンを使って上空から撮影すれば、人間が歩く必要はなくなります。さらに危険区域や高所、災害現場といった立ち入りが難しい場所の測量も安全に行えます。
・施工管理
従来は、現場の状況確認は施工管理者や現場監督による巡回が一般的でした。しかし複数の現場を担当している場合、事務所と現場の行き来に多くの現場を費やし、ほかの業務に支障をきたす場合もあります。そこでドローンを使ってクラウド上にアップされた上空からの撮影画像を見れば、どこにいても現場の様子を把握できます。
・資材の運搬
ドローンを使用した配送サービスも一部でスタートしています。建設資材などの運搬が可能になれば、山間部や高所などにもスピーディーに物資を届けられるようになります。本格的な実用化に向け、検証が進められています。
ウェアラブルデバイス:フィールドワークの効率化と安全確保

身体に装着できるカメラやメガネ型のスマートグラスといった、ウェアラブル端末の種類が増えています。ウェアラブルデバイスで現場の映像や音声を取得し、遠隔地から確認作業を行う「遠隔臨場」を、国土交通省も推奨しています。またウェアラブルデバイスは、作業員の安全確保にも有効です。
<活用事例>
・遠隔臨場
現場の作業員がウェアラブルカメラを用いて映像をリアルタイムに事務所へ配信することで、監督職員は現場に行かずリモートで確認作業を完了できます。
・遠隔からのアドバイス
ウェアラブルカメラを活用することで、高所作業など高齢者にとって事故リスクの高い場面でも、遠隔地から熟練者による作業アドバイスを受けることが可能です。
・健康管理
作業員が装着したウェアラブルデバイスから血中酸素濃度や血圧、心拍数といったバイタル情報を採取でき、熱中症のリスクを管理できます。また、転倒した際は管理者や同僚にアラートを通知できます。外国人の従業員で言葉のコミュニケーションが十分にできない場合でも、デバイスを用いることでアラートを出せるため、安全管理やトラブルの早期把握に効果を発揮するでしょう。
AI:施工管理やバックオフィス業務の効率化

ChatGPTの台頭により、2023年以降は第四次AIブームに入ったといわれています。建設業でも施工管理や経営管理、バックオフィス業務など、生成AIを活用できる分野は多くあると言えるでしょう。
<活用事例>
・チャットボット
業務に関する質問や、過去のデータを検索できるチャットボット(自動会話プログラム)の導入により、業務効率と生産性向上を実現できます。
・デザイン案の生成
生成AIは画像の技術も飛躍的に向上しました。建物の外観や内観のデザインプランも瞬時に生成できます。設計段階の作業効率が飛躍的に向上し、デザインへの合意をスピーディーに進めることができます。
・ロボットの自動走行
巡回や資材搬送を担うロボットにAIシステムを搭載することで、人間が事前設定をしなくてもリアルタイムに位置や周辺状況を認識し、建設現場内を安全に走行できます。
ほかにも業者とのやりとりやスケジューリングの効率化など、さまざまな企業の取り組みが注目されています。
AR/VR:フィールドワークの効率化と安全確保

AR(拡張現実)は位置情報や画像解析技術を駆使して、現実空間上にバーチャルのデジタル情報を重ねる技術です。一方でVR(仮想現実)は、ヘッドマウントディスプレイを使用して、仮想空間を現実のように体感できる技術です。これらの技術が活躍する事例を紹介します。
<活用事例>
・設計管理
建築現場にAR技術でビルや工場などを表示させ、建設時のイメージをリアルタイムに確認できます。
・安全教育
VRゴーグルを着用し、仮想空間上で危険災害を疑似体験すれば、従業員の安全意識向上に役立つ研修を実施できます。
・遠隔操縦
VRゴーグルを着用し、手元のリモコンで離れた場所にある建機を操縦する技術も開発されています。建機に特殊な魚眼カメラを設置することで距離感や奥行きが把握でき、実際に載っているかのような感覚で精確な運転が可能です。
建設業界が直面する2025年の崖を打破へと導くDX
2025年の崖は、建設業に深刻な影響を与えると予測される経済損失を表し、DX推進の必要性を強調する言葉です。
技術革新を取り入れ、業界の人手不足や高齢化、生産性の低さを解決することで、未来の持続可能な発展が可能になるでしょう。今こそ、建設業界のデジタル変革を加速すべきではないでしょうか。ぜひ自社の取り組みの参考にしてください。

監修者 遠藤良介(えんどうりょうすけ)
社会保険労務士
2019年に社労士登録し、2020年~Reメンバー労務オフィスを開業。製造業、サービス業、建設業等の事業者様への労務相談、社会保険・労働保険諸手続き、助成金相談・申請業務、就業規則等諸規定作成を行うとともに、資格予備校の講師(社労士講座)としても活動中。
時事問題のコラム
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ニュース
新着情報
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- 2025/04/07 『2025年の崖とは?土木・建設業の課題を解消するDX実例を紹介』を公開しました
イベント
- Start Date
- 2025/04/09
- End Date
- 2025/04/10
- Event Name
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『第55回 岩崎トータルソリューションフェア 2025』
- Event Details
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イノベーションを実現するTech&Solutions
日程:2025年4月9日(水)9:30 ~ 17:00、10日(木)9:00 ~ 16:00
会場:アクセスサッポロ(北海道札幌市)
主催:株式会社岩崎
- URL
- https://fair.iwasakinet.co.jp/itsf2025/
- Target
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- Start Date
- 2025/04/08
- End Date
- 2025/04/09
- Event Name
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(株)水上洋行『感謝祭 建設DXフェア―』
- Event Details
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日程:2025年4月8日(火)9日(水)9:30 ~ 17:00
会場:福岡国際センター(福岡県福岡市)
主催:株式会社水上洋行
- URL
- https://mizukami-abroad.co.jp/dxfair/
- Target
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