- Start Date
- 2026/02/25
- End Date
- 2026/02/25
- Event Name
-
TOPCON × KENTEM 共催『面トル体験セミナー』関東トレーニングセンタで開催
- Event Details
-
日程:
2025年11月26日(水)
2025年12月17日(水)
2026年1月20日(火)
2026年2月25日(水)
開催場所:関東トレーニングセンタ
参加費:無料(事前登録制)
主催:株式会社トプコンソキアポジショニングジャパン、KENTEM(株式会社建設システム)
- URL
- /content/topcon-pa/jp/ja/events/2025/3d-data-trial-kanto-kentem-2h.html
- Target
- _self
時事問題
3Dプリンター住宅は日本の建設業界を変える?コスト・耐震・法規制のリアルと今後の展望
「家を建てるのに何ヶ月もかかる」「熟練の職人が足りない」「建築コストが高騰している」――。日本の建設業界が抱えるこれらの課題に対し、新たな解決策として注目を集めているのが「3Dプリンター住宅」です。
将来的な量産化によって、工期の劇的な短縮や建築コストの大幅な削減が期待されるこの技術。しかし、強度や日本の気候、法規制への対応などについて、疑問を持つ方も少なくないでしょう。
本記事では、3Dプリンター住宅の基本的な仕組みから、建設業界の課題をどう解決しうるのか、そして気になる法規制や耐震性のリアル、さらにSDGsへの貢献や最新の導入事例について詳しく解説します。
3Dプリンター住宅とは?仕組みと注目される背景
そもそも「3Dプリンター」とは、3次元のデジタルデータをもとに、材料を一層ずつ積み重ねて立体物を形成する装置です。主要な造形方式であるFDM方式の基本特許が2009年に失効したことで低価格化が進み、日本でも技術の普及が始まりました。
その技術を建設に応用し、巨大な3Dプリンターで造形された住宅が「3Dプリンター住宅」です。
3Dプリンター住宅の基本的な仕組み
3Dプリンター住宅では、デジタル設計データをもとに、3Dプリンターのノズルからモルタル、セメント、土などの材料を吐出し、積み重ねて壁や屋根などを構築していきます。
一般的に、基礎工事が完了した後の「壁などの躯体(くたい)工事」において3Dプリンターが活躍します。建設用の3Dプリンターは、主に次の3つのタイプに分類されます。
1. 現場で直接施工するタイプ
- 建設現場に3Dプリンターを設置し、外壁や屋根などを形成する
- 現場で複雑な形状を実現できるのが特徴
2. 工場で部材を製作するタイプ
- 工場で形成した部材を現場に運搬して組み立てる
- 運搬・組み立て・取り付けの必要がある
3. コンクリート型枠を製作するタイプ
- コンクリートを流し込むための型枠のみを、3Dプリンターで形成する
- 現場でコンクリートを流し込むため、従来の施工方法に近い
この記事では、主に1の「現場で直接施工するタイプ」について紹介していきます。
なぜ今、建設業界で注目されているのか?
建設業界は今、「人手不足の深刻化」や「建設コストの高騰」といった喫緊の課題に直面しています。
2024年には55歳以上の就業者が全体の約4割に達している一方、若手の入職者は少なく、熟練技能者の大量離職が懸念されています。また、建設資材物価指数は2015年比で約40%上昇しており、従来の工法だけではコスト抑制が困難になっています。
3Dプリンター住宅は、少ない人数で効率よく、かつ資材の無駄を最小限に抑えて躯体を構築することが可能です。そのため、これらの課題を突破する「建設DX」の切り札として期待されています。
【参考】一般社団法人 日本建設業連合会「建設業就業者の高齢化の進行」
【参考】一般財団法人 建設物価調査会「建設物価 建設資材物価指数」
3Dプリンター住宅がもたらす革新とメリット
3Dプリンター住宅には、工期短縮や建設コストの削減、人手不足の解消といった革新的なメリットがあります。
躯体工事期間の大幅な短縮
3Dプリンター住宅の大きな特徴は、その圧倒的な施工スピードです。躯体(建物の骨組み・壁面)に関しては、建物の規模にもよりますが数日〜数週間という短期間での完成を目指せます。24時間体制の連続稼働も可能なため、工期短縮の強力な手段となります。
災害復興支援への活用
工期の短縮は、災害発生時など緊急性の高い場面で特に真価を発揮します。地震や水害などで避難生活を余儀なくされた人々へ、仮設住宅を迅速に提供することが可能であるためです。
一般的な仮設住宅は設置に1ヶ月程度の期間を要しますが、3Dプリンター住宅の中には、わずか数日の作業で完成するものもあります。被災者へのスピーディーな住宅確保を通じて、地域社会の復興に貢献できるでしょう。
将来的な量産化によるコスト削減
現時点では、プリンターの運搬費や特殊な材料費がかさむため、特に戸建て木造住宅などと比較して必ずしも安価になるとは限りません。しかし、将来的に技術が進歩し量産化が進めば、大幅なコスト削減が可能になると予測されています。
- 人件費の削減:フィールドワーカー(現場従事者)を最小限に抑えられる
- 材料費の削減:コンクリート型枠が不要となり、端材などの産業廃棄物処理費も抑えられる
人手不足の解消につながる
3Dプリンターを導入すれば、現場作業が大幅に省力化され、フィールドワーカーの負担が軽減されます。その結果、建設現場のイメージアップや、若手・女性が参入しやすい環境の構築につながり、離職率の低下や新しい人材の確保が期待できるでしょう。
デザインの自由度とSDGsへの貢献
デザインの自由度が高まることも、3Dプリンター住宅の大きなメリットです。3Dプリンターは曲線や曲面を自在に描けるため、従来工法ではコスト面から難しかったデザインも実現しやすくなります。
また、必要な材料のみを使用する「加法製造(アディティブ・マニュファクチャリング)」により、環境負荷の低減にもつながります。こうした特徴は、国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」の17のゴールのうち、例えば次の目標と関係します。
- 目標9. インフラ、産業化、イノベーション:建設プロセスのDXによる産業構造の変革
- 目標11. 持続可能な都市:安全で安価な住宅の提供
- 目標12. 持続可能な消費と生産:建設廃棄物の大幅な削減
3Dプリンター住宅が日本で普及するためのハードル
3Dプリンター住宅には多くのメリットがある一方で、普及のためにはいくつかのハードルを乗り越えなければなりません。
建築基準法に基づく大臣認定が必要となる
日本で3Dプリンター住宅を建てる際、最大のハードルとなるのが法規制です。
3Dプリンターで使われる材料は、建築基準法第37条に定められた「指定建築材料」に該当しません。そのため、材料の品質と構造の安全性の両面において、建築基準法第20条および第37条に基づく「大臣認定」の取得(または個別の建築確認での証明)が必要となります。
3Dプリンター住宅は今までにない新しい工法であるため、申請には構造設計者やメーカーとの詳細な協議が必要で、手続きに時間がかかるのが現状です。
【参考】国土交通省「新材料・新工法を用いて建築物を建てたいとお考えの方へ」
事例や研究データが不足している
大臣認定を取得することは、その材料や工法が特定の性能基準に適合しているとみなされることを意味します。とはいえ、3Dプリンター住宅はまだ新しい技術です。長期的な耐久性や住み心地については、今後さらなる実証実験や研究データの蓄積が待たれるところです。
素材や施工場所が限られる
3Dプリンター住宅に使える素材は、現時点では、機器に対応した特定のモルタルやセメント系素材が主となっています。木材や鉄骨、強度を高めるための鉄筋などを用いるのは難しく、人間による作業が必要な工程も少なくありません。
また、大型プリンターを設置するスペースや電源設備の確保も必要で、狭小地での施工には工夫が求められます。
施工業者における初期投資コストの負担が大きい
長期的な視点では建設コストの削減が期待される3Dプリンター住宅ですが、導入にあたっての「初期投資の高さ」は現時点での大きなハードルと言えるでしょう。
建設用3Dプリンターは高性能かつ大型な特殊機械であり、その導入には多額の資金が必要となります。また、機械だけでなく、専門オペレーターの確保や育成にも相応のコストと時間が必要です。
こうした「ハード(機械)」と「ソフト(人材)」の両面における投資負担が、施工業者の参入障壁となっている側面があります。しかし、仕様基準の新設などによる普及の後押しが進めば、導入コストの低減や専門人材の増加につながり、この課題も徐々に解消されていくと考えられます。
国内外における3Dプリンター住宅の建築事例
さまざまな課題を乗り越え、3Dプリンター住宅の可能性を追求する動きが活発化しています。主要な事例を見ていきましょう。
セレンディクス株式会社「serendix10」「serendix50」|日本
Sphereプロトタイプデザイン
セレンディクス株式会社は「家をゼロから再発明する」というコンセプトで、次のような3Dプリンター住宅を開発しています。
- serendix10:本体延べ施工時間、24時間以内で完成する10㎡の多目的空間
- serendix50:2人世帯向けに設計された50㎡の平屋建て
これらの住宅シリーズは、3Dプリンターの強みを活かした丸みのある形状や美しい積層が特徴です。単にデザイン性が高いだけでなく、JIS認定のコンクリートに鉄筋を配するなど、構造的な耐久性・安全性にも配慮されています。
【参考】PR TIMES「セレンディクス株式会社」
築(KIZUKI)・オノコム(ONOCOM)|日本
国内初の2階建て3Dプリンター住宅
株式会社築と株式会社オノコムは、国内外20社以上の企業や大学との産学連携により、日本初となる「2階建て」の3Dプリンター住宅を完成させました。
この建築の特徴は、基礎から2階の構造体までを現場で一体的にプリントした点にあります。また「意匠デザイン」「構造フレーム」「設備スペース」を同時に形成する3層構造を採用することで、従来は別工程だった作業をワンステップで完結させています。
これまで国内の3Dプリント住宅は平屋が中心でしたが、このプロジェクトでは建築基準法や構造的なハードルをクリアし、多層階住宅を実現しました。日本の住宅の多くが2階建てであることを考えると、この成功は大きな一歩と言えるでしょう。
【参考】3DP id.arts「産学連携と20社の共創で、国内初の二階建て3Dプリント住宅が完成」
ICON|アメリカ(テキサス州)
約60㎡のコンパクト住宅内部イメージ
米国の建設テック企業ICONは、テキサス州の複合コミュニティ「Mueller」にて、低・中所得者層向けのアフォーダブルな3Dプリント住宅(手頃な価格で無理なく居住できる住まい)を展開しています。
この建築は、1階の外壁を独自の3Dプリント技術で成形し、2階や屋根を在来工法で仕上げる「ハイブリッド方式」が特徴です。高い断熱性に加え、耐水・耐火・防カビといった優れた耐久性を備えており、施工期間の短縮と過酷な気候への適応を両立させています。
同社はこのほかにも、ホームレス向けの住宅支援プロジェクトや北米最大の訓練兵舎の建設など、3Dプリント技術を用いた多様な社会課題の解決に取り組んでいます。
【参考】3DP id.arts「省エネ・高耐久仕様の所得連動型3Dプリンター住宅特区が米国テキサス州に誕生」
Crest Robotics & Earthbuilt Technology|オーストラリア
Crest RoboticsとEarthbuilt Technologyは、現地調達可能な原料を用いて住宅を建設することを目的とした建設ロボット「Charlotte(シャーロット)」を開発しました。
最大の特長は、セメントを使わず砂や土、月面のレゴリス(堆積層)を圧縮して壁を構築する点にあります。蜘蛛型の自律走行ロボットが不整地でも稼働し、素材の吸い上げから積層までを単一工程で完結させます。
輸送負荷やCO₂を劇的に抑えるこのシステムは、地球上の環境保護や災害支援のみならず、将来の宇宙建築をも見据えた画期的な試みとして注目されています。
【参考】3DP id.arts「地球や月で現地調達した材料を使って一日で家を構築する3Dプリントロボット「Charlotte」」
3Dプリンター住宅の普及に向けた今後の展望
3Dプリンター住宅の普及に向け、国も動き出しています。国土交通省では建築規制の見直しや手続きの合理化を検討しており、具体的には小規模な建築物を対象とした「仕様基準」の新設や、大臣認定手続きの合理化などが議論されています。
今後のスケジュールについては2025年度の基準化を目指す方針が示されており、私たちの手に届く住まいとしての展開が間近に迫っています。安全性を確保しつつ新たな技術を柔軟に受け入れることで、3Dプリンター建築の社会実装はより加速していくでしょう。
【参考】国土交通省「建設用3Dプリンターを利用した建築物に関する規制の在り方について」
3Dプリンター住宅は「建設DXの真髄」になり得るか
人手不足や資材高騰という深刻な課題に対し、自動化と材料の最適化による明確な解決策を提示する、3Dプリンター住宅。それは、アナログな建設業界をデジタルの力で再構築する「建設DX」の象徴とも言える存在です。
もちろん、現時点では基礎工事や内装との連携、法規制への対応、そして初期投資の壁など、乗り越えるべきハードルは少なくありません。しかし、規制緩和の動きや国内外での実証実験の加速により、「3Dプリンターで家を建てる」ことはもはや現実的な選択肢のひとつへと進化しつつあります。
高品質な住まいが短期間で手に入る未来は、私たちの生活や社会のあり方を根底からアップデートするはずです。3Dプリンター住宅は、まさに建設DXの真髄と言える大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。
監修者 神谷友里絵(かみやゆりえ)
一級建築士・宅建士・インテリアコーディネーター
戸建てを含む設計実務経験と建設DX分野の調査・企画に従事。BIM、建設業界のAI活用、建材レビューなどの幅広い業務に携わる。
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新着情報
- 2026/02/16 『3Dプリンター住宅は日本の建設業界を変える?コスト・耐震・法規制のリアルと今後の展望』を公開しました
- 2026/02/16 優遇税制・補助金制度に『中小企業省力化投資補助金(一般型)』が追加されました
- 2026/02/05 『【症状別】建設現場の屋外作業に!市販の花粉症対策グッズ10選』を公開しました
イベント
- Start Date
- 2026/02/10
- End Date
- 2026/02/10
- Event Details
-
日程:
2025年12月23日(火)
2026年2月10日(火)
開催場所:関東トレーニングセンタ
参加費:無料(事前登録制)
主催:株式会社トプコンソキアポジショニングジャパン、福井コンピュータ株式会社
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- /content/topcon-pa/jp/ja/events/2025/3d-data-trial-kanto-fukui-computer-2h.html
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- 2026/03/19
- Event Name
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建築・設備業者様向け『新製品出前体験会』
- Event Details
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期間:2026年2月9日(月)~ 3月19日(木)
場所:貴社事務所・現場など
主催:株式会社トプコンソキアポジショニングジャパン
- URL
- https://bc.topconpositioning.asia/bc-demaetaikenkai?utm_campaign=249760459-bc-demaetaikenkai&utm_source=jp-ja&utm_medium=cf
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