- Start Date
- 2025/06/18
- End Date
- 2025/06/21
- Event Name
-
第7回 国際 建設・測量展(CSPI-EXPO 2025)に出展
- Event Details
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日程:2025年6月18日(水) - 2025年6月21日 (土)
会場:幕張メッセ 1~6ホール・屋外展示場・屋外展示場ANNEX
主催:国際 建設・測量展 実行委員会
- URL
- /content/topcon-pa/jp/ja/events/2025/cspi-expo-2025.html
- Target
- _self
DX
建設業は「経験工学」?メリット・デメリットやDXによる次世代への活かし方

「経験工学」という言葉を聞いたことはありますか?
経験工学とは「経験の蓄積と継承によって、機能性や安全性、利便性などを高めていく工学の手法」で、建設業で広く活用されています。その背景には、建設業が熟練の職人による技術継承が行われてきた業界であることが挙げられるでしょう。
建設業では職人の熟練技術や経験が大きな価値を持つ一方で、業界全体が人手不足や熟練者の高齢化といった深刻な課題に直面しています。熟練者の技術を若手フィールドワーカー(現場従事者)へ継承するためには、スマートフォンでの録画をはじめとする記録からVRなどのDX技術との連携、そしてAIの活用が欠かせません。
経験工学の特性やメリット・デメリットを把握して、次世代への活かし方を探りましょう。
経験工学とは

「経験工学」とは、熟練者の持つ知識や技術を分析し、体系化することで、それらを次世代に伝承しやすくする学問・技術体系を指す言葉です。経験工学は作業の効率化や標準化のみならず、安全性や品質向上にも寄与しています。
熟練の職人による技術継承が行われている建設業(土木・建築業)は、まさに経験工学の世界と言えるでしょう。経験工学と関連する考え方として「経験」「勘」「度胸」の頭文字を取った「KKD」という言葉が存在することからも、いかに熟練者の技術が重要視されていたのかが感じ取れます。
このように業界では経験工学が重んじられてきましたが、経験工学には「ノウハウが属人的になる」という大きなデメリットがあるのも事実です。熟練の職人の離職が進めば、技術継承が絶たれてしまうかもしれません。
このような状況下で解決の糸口となるのが、建設DXと言えるでしょう。経験の浅いフィールドワーカーでも扱いやすい建機やソリューションを活用するなど、デジタル技術によって経験工学を体系化し、技術を平準化していくことが今後の建設業に望まれています。
経験工学のメリット・デメリット

昔ながらのフィールドワーク(現場の仕事)において重要視され、その言葉の既知・未知を問わず、職人たちの間で実践され続けた経験工学。メリットが多いからこそ継承されてきた手法と言えますが、少なからずデメリットも存在します。
デメリットを把握した上でメリットを伸ばしていけるよう、計画的な運用と、熟練の職人との協力体制を確立することが重要です。
経験工学のメリット
経験工学の最大のメリットは、熟練者の技術を次世代に継承し、作業効率や安全性の向上に役立てられる点でしょう。
ひと口に技術と言っても、難しいものばかりではありません。例えば、フィールド(現場)で工具や資材が使いやすい場所に設置されているといった状況は、使用頻度や動線についての経験を通した理解、つまり経験工学が実践できている結果と言えます。このような、何気ない取り組みの積み重ねが、作業効率の向上に寄与しています。
また「Aの方法だと危ないからBの順番で作業をしろ」といった、フィールドで耳にする機会の多い指南も、熟練の職人の経験に基づいた経験工学のひとつと言えるでしょう。作業中の事故を防ぎ、事故やケガのリスクを低減することは、安全性の向上に直結します。
このような既存の経験工学に加え、熟練者の知識やノウハウを言語化・データ化する、最適な人員配置を実現して人的コストを削減するといった「プラスアルファの取り組み」が実現できれば、より現代に即した経験工学が実践できるでしょう。
経験工学のデメリット
経験工学の最大のデメリットは、個人の経験に依存しがちな点です。個人の経験には感覚的な要素が含まれる場合が多く、熟練者の直感や即時的な判断力などを完全に言語化・データ化することは難しいでしょう。
それでも、技術を次世代へ継承するためには、伝聞以外の継承手法を増やす必要があります。その一方で、熟練の職人への十分な配慮も忘れてはなりません。
熟練者が「自分の技術を奪われる」と抵抗感を示し、モチベーションを下げてしまうのは避けたいところです。言語化・データ化にあたっては管理職から一方的に指示・伝達をするのではなく、現場とコミュニケーションをとって協力体制を築いた上で推し進めましょう。
また、経験工学は「言語化・データ化できたから終わり」ではありません。環境や技術の変化によってノウハウが形骸化してしまうリスクについて、常に考慮し、アップデートし続ける必要があります。
このように、経験工学には技術の抽出や標準化の難しさ、変化への対応力の維持といったデメリットが存在します。これらの課題を正しく認識した上で、できる取り組みを考えていかなければなりません。
次世代に向けた経験工学の活かし方

技術を平準化して次世代へ継承するためには、熟練の職人の経験やノウハウを蓄積していくことが重要です。3つのステップを理解して、できる取り組みから始めましょう。
1. 技能の言語化や記録

経験工学は熟練の職人の技術に依存する傾向があるものの、それらを適切に言語化ならびに記録できれば、属人化を防ぐことが可能でしょう。言語化や記録と聞くと難しそうな印象を抱く方もいるかもしれませんが、例えばスマートフォンで動画を撮って保存する取り組みも、記録のひとつとして挙げられます。
特に、型枠施工の効率的な組み立てや精密な測量技術などは、言葉で説明しにくい作業も多いため、多くの情報を分かりやすく伝えられる動画は、技術継承に適した手段と言えます。作業の様子は積極的に動画に残し、若手フィールドワーカーがいつでも確認できる状況を作りましょう。
1級建築施工管理技士によるポイント解説
例えば型枠施工は、単純に組み立てるだけの作業ではありません。図面を正しく理解したり、崩壊しないような補強方法を検討したりと、長年の経験が必要です。そのため、熟練の職人が普段何気なく行っている作業も、文章や動画で詳細に記録しておくとよいでしょう。
2. DX技術との連携による効率化

動画撮影などでデータ化された熟練技術をDXと組み合わせることで、技能の共有を効率的に進められます。
例えば、3Dモデルを活用して建設業務を最適化するBIM(Building Information Modeling)と、シミュレーションツールによるフィールドワーカーの動線分析は、危険エリアの特定や足場の設置場所、手すりの追加が必要な箇所の把握に役立ちます。また、同様に3Dモデルを活用したCIM(Construction Information Modeling)では、土木工事の作業を効率的に管理できます。定期的に現場情報をデジタルデータとして記録・分析するとともに、フィールドワーカーの意見を反映することで、作業効率の向上が期待できるでしょう。
このように、計画段階から施工段階に至るまで、熟練者のノウハウとデジタルデータを組み合わせることで、計画精度が向上し、より効率的な施工が実現できます。
また、VR(仮想現実)を活用した技術研修の導入も進みつつあります。VR研修では、建設現場を再現した仮想空間で事故を疑似体験し、技術習得や安全意識を向上させることが可能です。座学研修ではカバーしきれないリアルな体験型教育により、現場経験が乏しい若手フィールドワーカーも、スピーディーに技術を習得しやすくなるでしょう。
1級建築施工管理技士によるポイント解説
建設現場における業務は、座学だけでは学び切れないことも多くあります。そのため、VRを用いた研修は非常に有効な手段といえるでしょう。昨今では、安全面だけでなく、配筋検査のVR体験をはじめとする、さまざまな体験型の教育を実施している企業もあります。熟練者のノウハウを詰め込むことで、より精度の高い技能継承を行うことが可能となります。
3. AI技術の活用による技術の体系化

スマートフォンに搭載された音声アシスタントや、ChatGPTなどの言語生成ツールに代表されるやAI(人工知能)は、大量のデータを学習し、パターンを解析することで最適な判断を導き出す技術です。このAI技術を活用して熟練者の経験を体系化することも、有効な手段として考えられます。
例えば、職人の施工方法や判断基準と併せて、過去の工事データや現場の状況をAIに学習させることで、最適な施工手順を提案したり、トラブル発生時の対応策を示したりといったアウトプットができるでしょう。さらに、VRと組み合わせることで、実践的な技術教育への応用も期待できます。
このように、AIによる技術継承の仕組みを構築することで、業務の標準化と効率化が進めば、経験の差による品質のばらつきを減らせます。ただし、AIはデータの蓄積によって精度を増すツールです。今は大がかりなAIシステムを導入できずとも、ゆくゆくはAIにより多くのデータを蓄積させられるよう、言語化・データ化やDX技術との連携によって、熟練者の知見を次世代に引き継ぐ準備を整えていきましょう。
1級建築施工管理技士によるポイント解説
建設現場において、細かな作業の順番や施工方法などは、人によってやり方が異なる場合があります。そのため、熟練者の知見を含めた多くのデータをAIに学習させ、最適解を提示できるような仕組みを作ることで、経験工学のアップデートにつながります。熟練者の頭の中にある知識をAIを通じて蓄積・共有できれば、DXが進む中で、今後さまざまな取り組みが期待できるでしょう。
経験工学をアップデートして技術を次世代に継承しよう
職人の長年の経験に基づく経験工学は、現代的な手法と見なされないこともあるでしょう。しかし、熟練の職人から学ぶべき知識や技術が多く存在することも事実です。
建設業においては、「長年の経験や勘」といったデータ化が難しい部分が多いものの、それらを次世代に継承するための取り組みが必要です。そのために、まずは言語化ならびに記録を通して経験や勘を蓄積し、DX技術と連携しながら、ゆくゆくはAIなどを積極的に用いてアウトプットしていく施策が今後の流れとなるでしょう。
とはいえ、経験工学のアップデートは、いきなり大がかりな取り組みから行う必要はありません。スマートフォンでの録音や録画、メモ帳の活用といった身近な行動が、今後のDX連携やAI活用の礎となります。できる取り組みから一つひとつ実践に移していきましょう。

監修者 山本悠太(やまもとゆうた)
1級建築施工管理技士
2013年に新卒で大手ゼネコンに技術職(施工管理)として入社。9年間勤務し、大型研修施設、高層マンション、大規模倉庫を担当。2022年よりリフォーム会社へ転職。現在も、店舗内装など小規模物件の施工管理に従事する。
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イベント
- Start Date
- 2025/04/09
- End Date
- 2025/04/10
- Event Name
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『第55回 岩崎トータルソリューションフェア 2025』
- Event Details
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イノベーションを実現するTech&Solutions
日程:2025年4月9日(水)9:30 ~ 17:00、10日(木)9:00 ~ 16:00
会場:アクセスサッポロ(北海道札幌市)
主催:株式会社岩崎
- URL
- https://fair.iwasakinet.co.jp/itsf2025/
- Target
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- Start Date
- 2025/04/08
- End Date
- 2025/04/09
- Event Name
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(株)水上洋行『感謝祭 建設DXフェア―』
- Event Details
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日程:2025年4月8日(火)9日(水)9:30 ~ 17:00
会場:福岡国際センター(福岡県福岡市)
主催:株式会社水上洋行
- URL
- https://mizukami-abroad.co.jp/dxfair/
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