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2026/10/26

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ICT施工とは?土工の5つの流れやメリット・デメリット、費用・資格をわかりやすく解説

ICT施工とは?土工の5つの流れやメリット・デメリット、費用・資格をわかりやすく解説

ICT施工とは、測量から設計、施工、検査までの建設生産プロセス全体で情報通信技術(ICT)を全面的に活用し、生産性や品質の向上を図る施工方法です。ドローンやICT建機を単体で導入するだけでなく、各工程のデータをつないで活用する点に特徴があります。

 

公共工事の入札公告や仕様書で「ICT活用工事」を初めて見た方は、どの工程に対応するのか、ドローンや専用資格が必須なのか、費用に見合うのか迷うかもしれません。本記事では、ICT施工の基本から導入前の確認事項まで、現場で判断する順番に解説します。

 

この記事では、以下について解説します。

  • ICT施工の意味と、i-Construction・建設DX・BIM/CIMとの違い

  • 土工を例にした5つの工程と、主な技術・機器

  • メリット・デメリット、対象工種、資格、費用

  • 異なるメーカー間のデータ互換性と、導入手順

まず概要をつかみたい方へ:

「ICT施工についてよくある質問」からご覧ください。迷いやすいポイントを短時間で確認できます。

【 目次 】

ICT施工とは?測量から納品までを3次元データでつなぐ施工方法

ICT施工とは?測量から納品までを3次元データでつなぐ施工方法

ICTは「Information and Communication Technology」の略で、日本語では「情報通信技術」と訳されます。建設現場では、GNSSなどの測位技術、建機の各種センサー、通信回線、クラウド、3次元データを組み合わせ、人・機械・情報をつなぐために使います。

 

ICT施工では、ドローン(UAV)やレーザースキャナーを活用して3次元測量を行い点群などの現況データを取得し、発注図と組み合わせて3次元設計データを作成します。そのデータをICT建機の操作支援や自動制御に利用し、施工後は設計面と計測結果の差を確認して電子納品します。機器の新しさより、前工程の出力を次工程で正しく使えることが重要です。

 

【参考】国土交通省「ICT活用工事(土工)実施要領(令和8年度)」

ICT施工・i-Construction・建設DX・BIM/CIMの違い

ICT施工・i-Construction・建設DX・BIM/CIMの違い

ICT施工とi-Construction、建設DX、BIM/CIMは、それぞれ対象とする範囲や目的が異なります。それぞれの違いは以下の表のとおりです。

用語中心となる範囲ICT施工との関係
ICT施工測量・設計データ作成・施工・出来形管理・納品具体的な施工方法
i-Construction建設生産プロセス全体ICT施工を含む国の生産性向上施策
建設DX業務・組織・働き方ICT施工より広い組織変革
BIM/CIM計画・設計から維持管理施工段階でICT施工と連携

【参考】国土交通省「i-Construction 2.0」

ICT施工の流れ|土工における5つの工程

建物の改修や設備の建設工事現場でタブレット端末で管理や監理の仕事をするヘルメット姿の現場監督

国土交通省の令和8年度「ICT活用工事(土工)実施要領」では、5つの全工程でICT施工技術を活用することを原則としています。

 

一方、小規模工事向けの「ICT活用工事(導入型)実施要領」には、全面活用型・ステップアップ型・ファーストステップ型があり、区分によって適用する工程が異なります。実案件では、特記仕様書と該当年度の実施要領を確認してください。

 

【参考】国土交通省「要領関係等(ICTの全面的な活用)」

 

1.3次元起工測量

従来の1点ずつ計測する「点」による測量から、1度に数百万点計測する「面」による計測方法で測量を行います。

 

着工前の地形や構造物を計測し、現況を3次元座標で表した点群データとして立体的に地形面を作ります。広範囲はUAV、地上からはレーザースキャナー、補足計測にはGNSSやTSが候補です。

 

データ取得後は点群処理ソフトで植生や重機など不要な点を除き、欠測と異常値を点検します。

2.3次元設計データ作成

平面的な2次元図面を基に、平面線形、縦断線形・横断形状などの情報を数値化し、3次元化します。このデータはICT建機や数量算出・出来形評価などに使用します。設計変更時は版と承認者を明確にしましょう。

3.ICT建設機械による施工

建機の位置情報や姿勢を把握しながら3次元設計データを活用し、掘削、敷均し、法面整形などを行います。マシンガイダンス(MG)は設計面との差をモニター表示や音声でオペレーターの手動操作をサポートし、マシンコントロール(MC)はデータに沿って作業装置の動きを自動制御します。

 

正確な施工には、どちらも始業前の精度確認が前提です。

4.3次元出来形管理等の施工管理

施工後の形状をUAV、レーザースキャナー、TS、GNSSなどで計測するほか、使用するICT建機によっては、施工中に取得される位置・標高・時刻などの施工履歴データを出来形管理に利用します。これらの結果を3次元設計データと比較し、出来形評価を行います。

 

3次元の面管理では、設計面からの離れを比較・評価しヒートマップなどで可視化できます。

 

【関連記事】施工管理とは?4大管理の内容と必要な資格、ICT活用による建設現場管理を解説

5.3次元データの納品

起工測量、3次元設計データ、3次元施工管理・出来形管理データなど作成した成果を整理し、工事完成図書として電子納品します。

 

ファイル名、データ形式、ソフトの版を整理し、提出前に別端末や指定ビューアで開けるか確認しましょう。

ICT施工で使われる主な技術・機器

ICT施工で使われる主な技術・機器

ICT施工の機器やソフトは、製品名からではなく、「何を計測するか」「どの精度が必要か」「次工程へ何のデータを渡すか」から選びます。

 

現場の広さ、上空視界、遮蔽物、通信環境、必要精度、サポート体制まで比較しましょう。

測量・計測機器|UAV・レーザースキャナー・GNSS・TS

UAVは広範囲を上空から計測しやすい一方、飛行規制、天候、植生、構造物の陰を考慮する必要があります。地上型レーザースキャナーは高密度の点群を取得でき、飛行しにくい市街地や構造物周辺にも適します。

 

ただし、物陰を補うために複数地点への据え替えが必要な場合があります。

 

GNSSは衛星を用いて測位するため、上空視界が確保できる現場で活躍します。TS(トータルステーション)は機器と測点の見通しを確保できれば、狭小地、基準点・標定点、構造物周辺の計測に向きます。

 

UAVやレーザースキャナーは、計測距離、必要精度、データ処理まで含めて選定します。

施工・管理技術|MG・MC建機・3次元ソフト・クラウド

3次元MG・MC建機は、3次元設計データと測位情報を利用して、操作支援や作業装置の自動制御を行います。なお、小規模工事向けの「ICT活用工事(導入型)」には、2次元MG建設機械を使用する区分もあります。

 

点群処理ソフトは計測データから不要点を除いて地形面を作り、出来形管理ソフトは施工した構造物や地形を設計面と比較し評価を行い帳票化します。

 

クラウドは設計変更、進捗、出来形の最新データを関係者で共有するために使います。

異なるメーカー間のデータ互換性は実データで確認する

異なるメーカーの測量機器、ソフト、ICT建機を組み合わせる場合、共通形式に対応していてもデータが完全に再現されるとは限りません。LandXMLやLAS・LAZなどの形式名だけで判断せず、導入前にサンプルデータで受入試験を行います。

  • 送信側から書き出し、受信側でエラーなく読み込めるか
  • 座標系、単位、標高基準、規格版、代表点のX・Y・Z座標が一致するか

  • 線形、横断、設計面、属性が後工程に必要な形で残るか

  • 変換・照査・承認・再作業を誰が担うか文書化できているか

変換前のネイティブデータ、変換条件、使用した規格版を保管しておくと、障害や設計変更に対応しやすくなります。

 

データ互換性は製品仕様のチェック欄で終わらせず、実際の運用フローで検証することが重要です。

 

【参考】国土交通省「J-LandXML運用ガイドライン」

ICT施工を導入するメリット

相談する作業服のビジネスマン

ICT施工を導入すると、起工測量から施工、出来形管理、検査までを3次元データで連携でき、作業時間や人員、手戻りの削減が期待できます。また、施工精度や品質の安定、安全性の向上、熟練者の技能支援、現場データの共有・再利用にもつながります。ここでは、ICT施工を導入する主なメリットを4つに分けて解説します。

測量・施工・検査を効率化しやすい

UAVやレーザースキャナーによる面的な計測では、多数の点を一つずつ計測する従来の作業を減らせます。ICT建機では丁張りの設置や掘削後の確認回数を抑えやすく、準備を含む総工数が減れば工期短縮につながります。

施工精度と品質を安定させやすい

建機のバケットやブレード(排土板)などの位置と設計面の差を建機のモニターで視覚的に確認できるため、掘り過ぎや盛り過ぎを早期に把握しやすくなります。

 

出来形を面で確認すれば、施工範囲のばらつきも可視化できます。ただし、建機の測位精度や設計データが誤っていれば誤差も広がるため、データ照査と精度確認が前提です。

安全性を高め、技能を補助できる

UAVや遠隔計測により、法面や重機の稼働範囲へ測量員が立ち入る機会を減らせます。MG・MCの操作支援は経験の浅いオペレーターの作業も補助します。一方で、周囲確認、立入管理、日常点検などの安全管理を代替するものではありません。

現場データを共有・再利用しやすい

起工測量、設計変更、施工履歴、出来形を版管理で整理すると、発注者、現場、協力会社が同じ情報を確認しやすくなります。完成時の3次元データは、数量確認、次工程への引継ぎ、将来の点検・維持管理に再利用できる可能性があります。

ICT施工のデメリットと導入時の対策

現場事務所で考える作業着の作業員 発注や下請けで納期に困るや経営などの戦略を考える

ICT施工には多くのメリットがある一方、機器やソフトの導入費用、3次元データを扱う人材、通信・測位環境などへの対応が必要です。準備不足のまま導入すると、作業負担や手戻りが増える可能性もあります。ここでは、ICT施工の主な課題と、導入時に取りたい対策を解説します。

初期費用と運用費がかかる

費用はICT建機や測量機器だけでなく、3次元設計・点群処理・出来形管理ソフト、通信、クラウド、保守、データ作成、教育にも発生します。案件数が少ない段階では購入を前提とせず、レンタルや外注を含む総費用と削減工数を比較します。

3次元データを扱える人材と運用ルールが必要

現場で計測を行う人、設計データを作る人、建機へ設定する人、出来形を照査する人が必要です。一人に知識が集中すると運用が止まるおそれがあります。初期は外部支援を受けつつ、データ作成・受け渡し、版管理、障害対応を手順化し、作成者とは別の確認者を置きます。

通信・測位・地形の影響を受ける

GNSSは山間部、ビルの谷間、構造物付近、地下などで受信が不安定になる場合があります。UAVやレーザースキャナーも、対象物への見通しが遮られると欠測が生じます。着工前に上空視界、電波、遮蔽物、気象、施工動線を調べ、TS測位など従来施工への切り替えを準備します。

障害・互換性・セキュリティへの備えが必要

機器故障、ソフト更新、通信停止、座標系の取り違え、ファイル不一致は、施工停止や手戻りにつながります。元データと提出版のバックアップ、変更履歴、アクセス権、復旧連絡先を定め、異常時の停止基準と従来方法への切り替え条件も共有しましょう。

ICT施工の対象工種・実施要領・資格・費用

ICT施工の対象工種・実施要領・資格・費用

ICT施工は、土工をはじめ、舗装、浚渫、地盤改良、法面、構造物など幅広い工種で活用されています。ただし、対象となる工程や使用技術、実施要領は、工種・発注内容・工事規模によって異なります。ここでは、対象工種と5工程の適用範囲、必要な資格、導入費用の考え方を整理します。

対象工種と5工程の適用範囲

ICT施工は、河川・海岸・砂防・道路土工のほか、舗装、浚渫、地盤改良、法面、排水構造物、擁壁、基礎など幅広い工種で活用されています。ただし、計測技術、出来形管理、ICT建機施工の要否は工種ごとに異なります。

 

また、すべての案件で5工程を一律に行うとは限りません。発注機関や発注内容、工事規模、導入区分によっても適用範囲が変わります。入札公告・特記仕様書、対象工種の実施要領を確認し、不明点は監督職員と協議してください。

 

【参考】国土交通省「要領関係等(ICTの全面的な活用)」

ICT施工の専用資格

ICT施工全体に共通する単一の専用国家資格はありません。ただし、車両系建設機械の運転には機体や作業内容に応じた技能講習・特別教育が必要です。基準点測量などの公共測量に技術者として従事する場合は測量士・測量士補の制度を確認します。

 

UAVについては、100g以上の機体を屋外で飛行させる場合は機体登録が必要です。また、飛行場所や方法によっては、飛行許可・承認が必要になります。

 

【参考】国土地理院「測量士・測量士補」

【参考】国土交通省「無人航空機操縦者技能証明等」

導入費用を抑えるには購入以外も比較する

ICT施工対象案件が多く、社内に運用担当者がいて稼働率を確保できる場合は購入を検討しやすくなります。初回や短期案件はレンタル、初期負担を平準化するならリース、人材や経験が不足する工程は外注が選択肢です。価格だけでなく、校正、教育、故障時支援、契約終了後の出力、互換性まで比較しましょう。

ICT施工を導入する5つの手順

オフィスにあるヘルメットとノートパソコン(無人)

ICT施工は機器の購入から始めると、目的と手段が逆転しやすくなります。発注条件と現場課題を確認し、効果を測れる工程を選び、小さく試してから展開します。

手順1.発注条件と現場課題を確認する

特記仕様書と最新要領から、対象工種、発注方式、対象工程、出来形管理、電子納品、協議期限を整理します。同時に測量の人数・時間、丁張り本数、重機の待ち時間、手戻り、危険な接近作業など、改善したい課題を数値で把握します。

手順2.ICTを使う工程と目標を決める

5工程すべてを前提とせず、課題に効果が見込める工程を選びます。広範囲の測量が負担なら3次元起工測量、丁張りや過掘りが課題ならMG・MC施工などが候補です。目標は測量工数、配置人数、手戻り回数など、導入前後で比較できる指標にします。

手順3.機器・ソフト・支援会社を選ぶ

必要精度と現場条件に合う機器を選び、教育、故障対応、データ作成、出来形・納品までを誰が担うか決めます。異なるメーカーを組み合わせる場合は、対応形式と規格版を確認し、実データによる受入試験を行います。

手順4.試行施工と教育を行う

本施工前に狭い範囲で試行し、基準点、座標系、標高、設計データ、建機設定、通信を確認します。既知点や従来測量と照合し、位置や高さのずれがないことを確かめます。異常時の停止基準、連絡先、従来施工への切り替えも共有しましょう。

手順5.効果を測り、次の現場へ展開する

工事後は、工数、人員、手戻り、安全、費用を導入前と比較します。効果が小さかった場合も、現場条件、データ修正、教育時間などの原因を記録します。変換条件、規格版、校正記録、チェックリストを案件ごとに残せば、同種工事で再利用しやすくなります。

ICT施工についてよくある質問

ICT施工を検討する際は、ドローンの必要性や5工程への対応範囲、中小建設会社でも導入できるかなど、さまざまな疑問が生じます。ここでは、ICT施工についてよくある質問に簡潔に回答します。実際の適用条件については、該当年度の実施要領や発注図書を確認してください。

ICT施工にドローンは必須?

ドローンは必須ではありません。起工測量や出来形計測には、地上型レーザースキャナー、GNSS、TS、施工履歴データなども利用できます。市街地、狭小地、樹木や構造物で上空から見えにくい場所では、レーザースキャナーやTSが適する場合があります。

ICT施工は5工程すべてに対応する必要がある?

国土交通省の令和8年度「ICT活用工事(土工)」では、原則として5工程すべてで活用します。ただし、現場条件によりICT建設機械による施工が困難・非効率な場合などは、監督職員との協議により例外が認められることがあります。

 

また、小規模工事向けの「ICT活用工事(導入型)」には、3次元設計データ作成やICT建設機械による施工を行わない区分もあります。対象工程は、入札公告、特記仕様書、該当する実施要領で確認してください。

ICT施工は中小建設会社でも導入できる?

導入できます。高額なICT建機を最初から購入せず、測量や3次元データ作成、出来形管理といった一つの工程から、機器のレンタルや業務の外注を活用して試す方法があります。削減した工数と総費用を記録し、効果が再現しやすい工程から対応範囲を広げると、過剰投資を避けながらノウハウを蓄積できます。

まとめ|ICT施工は現場に合う工程から始めよう

ICT施工とは、3次元データとICT機器を活用し、起工測量から設計、施工、出来形管理、納品までをつなぐ施工プロセスです。工数削減、品質の安定、安全性向上が期待できる一方、費用、人材、通信・測位環境、データ互換性への備えが欠かせません。

 

制度や要領は年度、発注機関、工種で変わります。最新の実施要領、特記仕様書、監督職員との協議内容を確認したうえで、自社の現場に合う工程から段階的に進めましょう。

■次の一歩

まず発注図書と現場課題を確認し、効果を測れる工程を一つ選びます。次に購入・レンタル・外注を比較し、サンプルデータで機器・ソフト間の受け渡しを試してください。試行結果を記録して次の現場へ展開すれば、過剰投資を避けながら対応範囲を広げられます。
トプコンのICT施工関連ソリューションを確認したい方は、「建設ICT総合カタログ」をご覧ください。測量・計測からICT建機施工、現場データの共有まで、工程や現場条件に合わせた機器・ソフトを検討できます。

監修者 安喰 直人(あぐいなおと)

監修者 安喰 直人(あぐいなおと)

NA office 代表/1級土木施工管理技士

 

地場建設会社で施工管理を経て、2015年に建設会社の設立メンバー(取締役)として参画。i-Constructionの創成期から現場にICTを取り入れ測量設計や施工を行い、累計100件以上のICT現場に携わる。現在は独立し主に3次元測量や設計業務を行っている。

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