- Start Date
- 2025/02/26
- End Date
- 2025/03/11
- Event Details
-
日程:
2024年12月10日(火)、17日(火)
2025年1月15日(水)、28日(火)
2025年2月26日(水)
2025年3月11日(火)
開催場所:関東トレーニングセンタ
参加費:無料(事前登録制)
主催:株式会社トプコンソキアポジショニングジャパン
協賛:KENTEM(株式会社建設システム)、福井コンピュータ株式会社
- URL
- /content/topcon-pa/jp/ja/events/2024/esn-100-kui-navi-family-trial-kanto.html
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- _self
DX
労働安全衛生法(安衛法)とは?建設業における労災防止の取り組み例

労働者の安全と健康を確保することを目的とする「労働安全衛生法」。この法律には、土木・建設業界の業務と密接に関わる内容が盛り込まれています。
2024年には、リスクアセスメント関連や本足場の原則義務化などの法改正がされました。従業員教育や現場管理の効率化などで活用されるDX技術を含め、労災防止に向けた取り組みへの理解を深めていきましょう。
労働安全衛生法とは?

労働者の安全と健康の確保を最優先事項としている「労働安全衛生法」。高度経済成長期に労働災害が急増したことを背景に、労働基準法から分離独立した法律ですが、安全衛生に関する事項は労働条件の重要な部分を占めるとして、労働基準法とは「一体の関係」と言われています。
どちらの法律も労働基準監督署の行政指導の対象となり、企業には遵守徹底が求められます。
労働安全衛生法制定の背景
労働安全衛生に関する法規制は戦前から存在しましたが、それはあくまで従業員のケガや病気といった労働災害が起こりやすい、特定の業種に特化したものでした。
その後、1947年に制定された労働基準法において、業種を問わず労働安全衛生に関する法規制が定められました。しかし、1955年頃から1973年頃までの高度経済成長期に労働災害が急増し、労働者の安全や健康確保が急務となります。
そこで、労働基準法の内容をさらに拡充し、独立させる形で、1972年に労働安全衛生法が成立しました。国土交通省の「建設業における安全衛生をめぐる現状について」によると、労働安全衛生法が制定されて以降、労働災害による死傷者数は長期的に減少傾向にあります。
労働基準法との違い
労働安全衛生法と労働基準法はどちらも働く人を守るための法律ですが、カバーする内容や目的に違いがあります。
比較項目 | 労働安全衛生法 | 労働基準法 |
---|---|---|
目的 | 労働者の安全・健康の確保 | 労働条件の確保・改善 |
フォーカスすること | 職場の環境や作業の安全 | 働く時間や賃金のルール |
具体例 | 防護具の着用、健康診断 | 残業代、休憩時間 |
役割こそ異なるものの、いずれも働く人を守るために大切な法律と言えるでしょう。
2024年4月1日施行・労働安全衛生法改正のポイント

2024年4月1日、化学物質による労働災害防止のため、労働安全衛生規則等の一部が改正されました。これにより、リスクアセスメントが義務付けられている化学物質の製造・取り扱い・譲渡提供を行う事業所ごとに「化学物質管理者」を選任することが義務となりました。
リスクアセスメントとは、事業場にある危険性や有害性の特定から、それらのリスクの見積もり、優先度の設定、リスク低減措置の決定に至るまでの手順を指します。
また今回の法改正では、労働者に保護具を使用させる場合に「保護具着用管理責任者」を選任することも義務化されました。
2024年4月の法改正点として、
・リスクアセスメント対象物に関する事業所の義務の強化
・化学物質管理者の選任義務化
・保護具着用管理責任者の選任義務化
・本足場の原則義務化
などが挙げられます。
なお、本足場の義務化は、建築物の外面からの幅が1m以上確保できる箇所が対象になります。足場からの転落事故の増加により義務化されました。
【参考】厚生労働省「労働安全衛生法の新たな化学物質規制」
【参考】厚生労働省「化学物質による労働災害防止のための新たな規制について」
労働安全衛生法の対象(事業者・労働者)
労働安全衛生法は、基本的に「働く場」に関わるほぼすべての人や組織を対象とするものです。「国家公務員」「船員法に定める船員」「家事使用人」を除くすべての労働者が、労働安全衛生法の適用労働者となります。
対象となる事業者
日本国内で労働者を雇用しているすべての事業者が対象です。業種や規模を問わないため、従業員数が1人の事業所にも適用されます。ただし個人事業で労働者を雇用していない場合や、一部の農林水産業は適用範囲が限定されるケースもあります。
対象となる労働者
事業者の指揮命令のもとで働くすべての労働者が対象です。正社員のみならず、契約社員やパートタイマー、派遣社員、短期労働者にも適用されます。
外国人労働者は在留資格の有無に関係なく、雇用されている限り適用されます。特例として、建設現場の作業員など請負業者も対象になる場合があります。ただし、自営業やフリーランスなどには適用されません。
労働安全衛生法に定められた事業者の義務

事業者の義務は、安全な環境を整えることと、労働者の健康を守ることの両面から成り立っています。これらを怠ると法律違反になるだけでなく、職場での事故やトラブルにつながってしまうため、遵守は非常に重要です。
事業者の講ずべき措置として「危険防止措置」「健康障害防止措置」「健康保持等の措置」「労働災害防止措置」「重大事故防止措置」が、それぞれ労働安全衛生法に規定されています。
また、異なる事業者が共に働く建設現場では、さまざまな労働者をまとめあげる「統括安全責任者」や「元方安全衛生管理者」の選任が義務付けられています。
1. 安全衛生管理体制の構築
事業者は、職場の安全衛生を管理する体制を整える必要があります。
安全管理者・衛生管理者の選任
一定規模の事業所では、作業の安全対策を計画・実施する「安全管理者」、 労働環境の衛生面を管理する「衛生管理者」を配置する
産業医の選任
常時50人以上の労働者がいる場合、産業医を選任して健康管理を行う
安全衛生委員会の設置
50人以上の労働者がいる場合、労働者の代表を含めた委員会を設ける義務がある
2. 労働者への安全対策
職場での事故やケガを防ぐため、以下の対策が求められます。
危険有害作業の対策
高所作業や有害物質を扱う作業では、安全装置や防護具を準備する
機械設備の安全確保
作業で使用する機械は、安全装置を設置し、定期的に点検する
作業手順の明確化
危険が伴う作業では、作業手順を明文化し、労働者に周知する
3. 労働者の健康管理
年1回の健康診断やストレスチェックなどを通じて、健康面もしっかりサポートする必要があります。
健康診断の実施
定期健康診断(年1回)や、有害物質を扱う作業を担当する従業員には特殊健康診断を実施し、結果に基づき適切な対応を行う
ストレスチェックの実施
常時50人以上の労働者がいる事業所では、年1回のストレスチェックを実施する
長時間労働者への配慮
過重労働が疑われる労働者に産業医による面接指導を行う
4. 作業環境の維持管理
換気や快適な温湿度を保つといった労働環境の維持は、基本的な項目です。さらに、視覚や聴覚に影響を与える作業があったり、化学物質を取り扱ったりする環境には、別途基準が設けられています。特に化学物質の取り扱いには、リスクアセスメントを実施し、安全対策を講じなければなりません。
5. 労働者の教育
労働災害を防止する上で、事業者は労働者へ安全衛生教育を行う必要があります。作業マニュアルの作成やスキル習得の訓練、講師・教材の選定といった準備が必要です。また火災や災害を想定した定期的な避難訓練の実施も欠かせません。
6. 労働災害の防止と報告
事故や労働災害が起きた場合、原因を調べて再発防止策を講じることが重要です。また、死亡事故や4日以上の休業を伴う災害は、労働基準監督署に報告する義務があります。
労働安全衛生法を遵守するメリット

労働安全衛生法を守ることは「労働者の安全と健康を守り」「快適な職場環境を促進する」ことにつながるため、特に企業イメージの向上から、人材確保や取引先の増加、安定経営の持続などが期待できます。
1. 労働者の安全と健康の確保
法律を守ることで、事故や災害のリスクを減らし、従業員が安全に働ける環境を提供できます。これにより、労働者の健康被害や死亡事故を防ぐことが可能です。
2. 企業イメージの向上
安全対策に積極的な企業は、社会的信用が高まります。元請け業者や取引先からの信頼が得られ、新しいプロジェクトの獲得に対してプラスに作用するケースもあるでしょう。
3. 法的リスクの回避
労働安全衛生法に違反すると罰則や営業停止などの行政処分を受けるリスクがあります。それらを防ぐためにも、法律を遵守しなければなりません。
4. 生産性の向上
事故やケガが少なくなれば、労働者の欠勤が減って仕事がスムーズに進みます。安全な作業環境が用意できれば、作業効率はおのずと向上するでしょう。
5. 従業員のモチベーション向上
安心して働ける職場環境は、従業員の満足度を高めます。結果として、離職率の低下やチームの団結力向上が期待できます。
6. コスト削減
事故が発生すると、治療費や損害賠償、工期の遅延など、さまざまなコストが発生します。そのため、事故を防ぐことは、長期的なコスト削減につながります。
7. 持続可能な事業運営
安全性を重視する企業は、長期的に安定して事業を継続できます。これは建設業界の厳しい競争を勝ち抜くためにも重要であると言えるでしょう。
労働安全衛生法の遵守を怠った場合の罰則

労働安全衛生規則に違反した事業者は、処罰を受けるケースがあります。重大な違反になると懲役刑も課されてしまいます。
労働安全衛生法違反は、労働災害にもつながり、貴重な人材や会社の信用を失い、経営基盤を揺るがしかねません。法令遵守は必要不可欠です。以下の例から分かるように、さまざまな現場で罰則・罰金が適用されているため、ご注意ください。
罰金の額 | 該当例 |
---|---|
50万円以下の罰金 | ・安全管理者や衛生管理者の選任義務を怠った ・リスクアセスメントを実施していない ・必要な書類や記録が保存されていない ・規則に定められた安全衛生教育を行っていない ・健康診断を実施していない |
6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金 | ・危険な作業および有害物を扱う作業に対する特別教育を実施していない ・作業環境の測定を実施していない ・特定の病気にかかった労働者を勤務させた |
1年以下の懲役または100万円以下の罰金 | ・特定の機械や化学物質などを無許可で製造した ・使用停止が命じられた機械を使用した ・労働安全コンサルタント、衛生コンサルタントなどが、職務を通して得た情報を漏洩した |
3年以下の懲役または300万円以下の罰金 | ・政令により製造や輸入、譲渡や提供、使用が制限されているものを使用して労働者に健康被害を与えた |
建設業界における労働安全衛生管理DXの取り組み事例

コミュニケーションが複雑化する建設現場では、健康管理・安全管理を含めた効率的な情報共有が非常に有効です。身近になってきたウェアラブル端末を使った労働者の健康管理や、ドローンを使った危険区域、高所の作業などDXの導入事例を紹介します。
事例1. 安全管理のデジタル化
現場の状況をリアルタイムで把握して事故防止につなげる、危険地域への人の立ち入りを最小限に抑えるなどの取り組みが挙げられます。
IoTデバイスの導入
作業現場にセンサーを設置し、温度、湿度、ガス濃度、騒音などをリアルタイムでモニタリング。危険な状況が発生した場合にアラートを発信します。
ウェアラブル技術
スマートヘルメットやスマートウォッチで労働者の心拍数、体温、疲労度を測定し、健康リスクを早期に察知します。
ドローンの活用
高所や危険地域の巡視をドローンで行うことで、作業員が危険な場所に立ち入るリスクを低減できます。
事例2. 健康管理のデジタル化
健康管理にデジタル技術を導入することにより、個々に合わせた適切な対応や、管理コストの削減を実現できます。
健康診断データのデジタル管理
健康診断結果をクラウドで管理し、異常値が出た場合に産業医や担当者が即時対応します。
ストレスチェックのオンライン化
メンタルヘルスの状態をオンラインで測定し、結果のフォローアップを迅速化します。
事例3. 教育・トレーニングのデジタル化
労働者が自由に学習できる環境を提供することによって高い学習効果が見込め、また教育担当者の負担も大幅に削減可能です。
eラーニング
安全衛生教育をオンラインで提供し、労働者がいつでも学習できる環境を実現します。
VR(仮想現実)トレーニング
仮想空間で危険作業をシミュレーションすることで、教科書や動画学習よりも深く知識を定着させることができます。また実際の重機や建材を使わずにトレーニングができるため、安全かつコストを抑えることが可能です。
事例4. データ分析による予防活動
過去の災害やヒヤリハットのデータを一元管理し、分析することで、労働災害の未然防止につなげます。
AIを活用したリスク予測
過去の労働災害データを分析し、危険が発生する可能性の高いエリアや状況を予測します。
労働災害データの可視化
作業場ごとの事故発生率や原因をデジタルツールで視覚化し、具体的な対策を立案します。
事例5. コミュニケーションへのデジタルツール活用
建設現場では環境の変化や複雑な作業が多く、密なコミュニケーションが欠かせません。情報共有がスムーズに進む仕組みを構築できれば、作業効率が上がり、労働災害の防止にも効果を発揮するでしょう。
チャットボットの導入
労働者からの安全衛生に関する質問に自動応答する仕組みを構築し、コミュニケーションコストを削減します。
クラウド型共有ツール
安全関連の情報やマニュアルをクラウド上で共有し、常に最新の情報を確認できるようにします。
事例6. 現場管理のデジタル化
リアルタイムのデータに基づいて、従業員の位置や機械の稼働状況など全体の状況を把握できれば、トラブルを未然に防げる可能性が高くなります。
作業員の位置情報管理
GPSを利用して労働者の位置を把握し、危険エリアへの立ち入りを防ぐことができます。
建設現場のスマート工場化
IoTセンサーで建機の稼働状況を監視し、効率的な運用やメンテナンス計画を立案します。
建設業における安全衛生管理のカギはDX
土木・建設業界における安全衛生管理は、作業員や関係者の命を守り、事業の効率性を高めるために不可欠です。目的や必要性を改めて確認し、自社の取り組みに活かしましょう。
安全衛生管理の分野へのDX導入を進めることで、より安全で健康的な職場づくりを効率的に進められます。さらに、DXは業務効率の向上やコンプライアンスの確保、コスト削減にも寄与します。持続的な事業運営のためにも、労働安全衛生法を理解し、できることから取り組みやDXを進めましょう。

監修者 遠藤良介(えんどうりょうすけ)
社会保険労務士
2019年に社労士登録し、2020年~Reメンバー労務オフィスを開業。製造業、サービス業、建設業等の事業者様への労務相談、社会保険・労働保険諸手続き、助成金相談・申請業務、就業規則等諸規定作成を行うとともに、資格予備校の講師(社労士講座)としても活動中。
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新着情報
- 2025/02/05 『労働安全衛生法(安衛法)とは?建設業における労災防止の取り組み例』を公開しました
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- 2025/01/17 優遇税制・補助金制度に『中小企業省力化投資補助金』を追加しました
イベント
- Start Date
- 2025/02/20
- End Date
- 2025/02/20
- Event Name
-
『建築施工ソリューション体験会』北九州トレーニングセンタで開催
- Event Details
-
日程:2025年2月20日(木)10:00 ~ 17:00
会場:北九州トレーニングセンタ(福岡県北九州市)
参加費:無料
事前予約制・先着順
主催:株式会社トプコンソキアポジショニングジャパン - URL
- https://bc.topconpositioning.asia/topconbc_taikenkai01-0
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- Start Date
- 2025/02/14
- End Date
- 2025/03/13
- Event Details
-
日程:
2025年1月21日(火)
2025年2月14日(金)
2025年3月13日(木)
開催場所:白河トレーニングセンタ
参加費:無料(事前登録制)
主催:株式会社トプコンソキアポジショニングジャパン、福井コンピュータ株式会社
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