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2026/08/05

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TLSのレジストレーションを比較検証|後方交会法・点群マッチング・ハイブリッドの違い

TLSのレジストレーションを比較検証|後方交会法・点群マッチング・ハイブリッドの違い

測量・建設現場では、地形や構造物を3次元データとして取得できる「TLS(地上型レーザースキャナー)」の活用が広がっています。

TLSで現場全体を計測する場合、複数の位置から取得した点群データを一つの座標系にまとめる「レジストレーション」が必要です。この処理には、ターゲットを基準にする方法と、点群同士の形状を照合する方法があり、どの手法を選ぶかによって現場作業や成果データの品質が変わります。

ターゲットを用いる方法は確実性に優れる一方、設置や計測に手間がかかります。点群マッチング法はターゲットを減らせる反面、対象物の形状やデータの重なり方によって結果が変わります。

そこでトプコンでは、同一のTLSとスキャン位置を用い、後方交会法と点群マッチング法の3D座標精度を比較しました。

検証では、後方交会法の誤差平均値が0.9mmだったのに対し、点群マッチングの処理に後方交会法を組み合わせたハイブリッドレジストレーションは1.0mmでした。ただし、これは特定の条件下で行った社内検証の結果であり、すべての現場で同じ精度が得られることを示すものではありません。

本記事では、検証内容をもとに、TLSの主なレジストレーション手法の特徴と、現場に応じた選び方を解説します。

あらためて「TLS(地上型レーザースキャナー)」とは?

あらためて「TLS(地上型レーザースキャナー)」とは?

TLS(地上型レーザースキャナー)とは、レーザー光を対象物に照射し、その反射を利用して3次元の座標情報を取得する計測機器です。

 

従来のトータルステーションによる測量が「点」を測るのに対し、TLSによる測量は数分間で数百万点もの「点群データ」を取得することにより、現場を3Dモデル化できることが最大の特徴です。近年、国土交通省が進める「i-Construction」やBIM/CIMの推進に伴い、以下のような場面で活用されています。

  • 現況測量:複雑な地形や構造物を瞬時にデジタル化

  • 出来形管理:設計データと点群を照合し、施工状況や出来形を確認 

  • 維持管理:橋梁やトンネルなどの形状や変化を3次元データで記録・確認

しかし、この便利なTLS測量を実務で使いこなす上で、多くの技術者が直面する最大のハードルが「レジストレーション(データの合成)」の工程です。

 

【関連記事】i-Construction 2.0とは?現場で実践すべきことや取り組み事例について

TLSによる3D計測で欠かせないレジストレーション

現場事務所で考える作業着の作業員

レジストレーションとは、異なる位置から取得した複数の点群データを、共通の座標系に統合する処理です。

データ同士の位置関係が正しく調整されていないと、構造物の壁面が二重に見えたり、データ全体の形状にずれが生じたりする可能性があります。そのため、レジストレーションはTLS計測の品質を左右する重要な工程です。

ただし、確実性を重視するほど現場での準備作業が増えやすく、準備を減らすほど計測計画や後処理に関するノウハウが必要になる傾向があります。

ターゲットを用いる手法は準備と計測が必要

後方交会法などのターゲットを用いる手法では、座標が分かっている基準点や、プリズムなどのターゲットを計測し、TLSの位置と向きを求めます。

基準となる座標を使って点群を配置するため、確実で安定したレジストレーションを行いやすいことが特徴です。

一方で、現場ではターゲットの設置、視準、検出、回収などの作業が必要になります。計測範囲が広い場合や、TLSの設置位置が多い場合には、こうした準備や計測が現場作業の負担になることがあります。

点群マッチング法は現場条件に左右される

点群マッチング法は、隣り合う点群に共通して含まれる形状を解析し、データ同士を重ね合わせる方法です。

ターゲットを設置せずにレジストレーションできるため、持ち込み機材の削減と、現場での準備作業を大幅に短縮可能です。

ただし、結果は次のような条件に左右されます。

  • 点群同士に十分な重なりがあるか
  • 位置合わせに利用できる形状や特徴点があるか

  • スキャン位置が適切につながっているか

  • レジストレーション後の確認や調整が行われているか

同じような壁面が続く場所や、特徴の少ない空間では、点群同士の位置関係を正しく求めにくくなることがあります。

したがって、点群マッチング法は「ターゲットが不要だから簡単」とは限りません。計測時のスキャン配置と、後処理の両方に一定のノウハウが求められます。

TLSのレジストレーション手法の特性と課題

繰り返しになりますが、TLSのレジストレーション手法は、大きく以下の2つに分類されます。

  • ターゲットを用いる手法(器械点・後視点法、後方交会法、タイポイント法など):基準となる座標やターゲットを使い、確実に合成しやすい。反面、ターゲットの設置、計測、検出などが必要。

  • 点群マッチング法:点群同士の重なりを解析して自動合成。ターゲット不要で効率的だが、特徴点、オーバーラップ、スキャン配置などに結果が左右され、処理には一定のノウハウが求められる。

このように、ターゲットを用いる手法と点群マッチング法には、それぞれ異なる強みと課題があります。ターゲットを用いる手法は確実性に優れる反面、現場での準備作業が必要です。一方、点群マッチング法は作業効率の向上が期待できますが、点群の重なり方や特徴点の分布、処理方法によって結果が左右されます。

この二つの特性を組み合わせ、確実性と効率性の両立を目指す方法が「ハイブリッドレジストレーション」です。

ハイブリッドレジストレーションは、後方交会法や点群マッチング法とは別の、第三のレジストレーション原理ではありません。後方交会法によって座標を確定したスキャンと、点群マッチングによってつないだスキャンを組み合わせる、複合的な運用方法です。

【比較検証】点群マッチングの処理方法で3D座標精度はどう変わる?

【比較検証】点群マッチングの処理方法で3D座標精度はどう変わる?

では、点群マッチングの処理方法を変えることで、3D座標精度にはどの程度の違いが生じるのでしょうか。

今回の検証では、確実性に優れる後方交会法を比較基準とし、点群マッチングの処理を4段階に分けて結果を確認しました。最終段階では、後方交会法で求めたスキャン位置を追加するハイブリッドレジストレーションを行っています。

検証条件と評価方法
検証条件と評価方法

検証は、株式会社トプコンソキアポジショニングジャパンの関東トレーニングセンタで行いました。

同一のTLS「ESN-100」を使用し、同じスキャン位置から次の2種類のデータセットを取得しています。

  1. 25回のスキャンを後方交会法のみで処理したデータ
  2. 25回のスキャンを点群マッチング法で合成したデータ

点群マッチング法のデータについては、座標系を合わせるため、1スキャンのみ後方交会法を実施しています。 

また、検証点を4か所に設置し、TLSから算出した座標と既知座標との差を比較することで、3次元での位置関係を評価しました。

点群マッチング法については、同じ計測データを使い、レジストレーションの処理を次の4段階に分けています。

  1. ループを設けずに点群を順番につなぐ

  2. スキャン経路にループを設ける

  3. スキャン間のリンクをネットワーク状に増やす

  4. 後方交会法で求めたスキャン位置を追加する

「ループ」とは

測量における「閉合トラバース」に類似した観測方式です。スキャン経路を一周させて始点側と終点側のデータをつなぎ、累積した誤差を全体で調整することで、点群全体の整合性を高めます。

点群マッチングの処理
ループとネットワーク状のリンクで誤差が改善

検証点4点における3D座標誤差の平均値は、次のようになりました。

ループとネットワーク状のリンクで誤差が改善
レジストレーション手法3D座標誤差(検証点4点の平均値)特徴と評価
後方交会法0.9mm

今回の検証で基準となる値。

点群マッチング ①ループなし6.2mm単純な自動合成。ターゲットは不要だが誤差は大きい。
点群マッチング ②ループあり3.0mm閉合により精度が改善。
点群マッチング ③ネットワーク状1.6mmリンクをネットワーク状に設定することで、さらに改善。
ハイブリッドレジストレーション1.0mm後方交会+点群マッチングのハイブリッド法。後方交会法の精度に迫る。

単純に点群を順番につないだケースでは、誤差平均値は6.2mmでした。

一方、スキャン経路にループを設けると3.0mm、複数のスキャン間をネットワーク状につなぐと1.6mmまで改善しています。さらに、後方交会法で座標を求めたスキャン位置を加えたケースでは1.0mmとなりました。

この結果から、点群マッチング法の精度は、使用するソフトだけで決まるのではなく、スキャン配置やリンクの設定、全体調整の方法によって変わることが分かります。

一方で、この検証結果から直ちに「ハイブリッドレジストレーションは後方交会法と常に同等」と結論づけることはできません。

今回の数値は、特定の機器、施設、対象物、スキャン配置、処理方法で得られた4点の平均値です。異なる現場でも同じ数値が得られることを保証するものではありません。

また、検証で定量的に比較しているのは3D座標精度です。ターゲットの設置時間や、現場作業全体の所要時間を数値で比較したものではない点にも注意が必要です。

有力な選択肢となりうる「ハイブリッドレジストレーション」

確実性と効率性の両立を図る有力な選択肢が、後方交会法と点群マッチング法を組み合わせた「ハイブリッドレジストレーション」です。

 

これは、すべてのスキャン位置で後方交会法を行うのではなく、座標合わせに必要な要所で後方交会法を用い、残りのスキャンを点群マッチングでつないでいく手法です。 

 

後方交会法の確実性を残しながら、ターゲットを用いる地点を絞れる可能性があることが、この方法の特徴です。

後方交会法を用いるスキャン位置を絞りやすい

後方交会法のみで運用する場合、ターゲットの設置に加え、座標を求める各スキャン位置でターゲットを視準する作業が必要になります。

ハイブリッドレジストレーションでは、一部のスキャン位置で後方交会法を行い、それ以外を点群マッチング法でつなぐため、後方交会法を用いるスキャン位置を減らせる可能性があります。

その結果、ターゲットの設置や視準に伴う現場作業の負担を抑えられることが期待できます。 

ただし、削減できる作業量は、現場の形状、必要なスキャン数、座標管理の方法によって異なります。「何割短縮できる」といった効果は、個別の計測計画を踏まえて判断する必要があります。

座標基準と点群のつながりを併用できる

点群マッチング法だけでデータをつなぐ場合、個々の点群間の位置関係は求められても、現場の基準座標とどのように整合させるかを別途考える必要があります。

ハイブリッドレジストレーションでは、後方交会法で求めたスキャン位置を点群ネットワークに加えることで、点群同士のつながりと基準座標の両方を利用できます。

今回の検証でも、ループやネットワーク状のリンクだけで処理したケースより、後方交会法の情報を加えたケースの方が良好な平均値となりました。

そのため、現場座標に整合したデータが必要でありながら、すべてのスキャン位置でターゲット計測を行うのが難しい場合には、検討する価値のある方法といえます。

現場に適したレジストレーション手法の選び方

現場に適したレジストレーション手法の選び方

レジストレーション手法を選ぶ際は、手法そのものの優劣ではなく、次の条件を整理することが重要です。

  •  成果物に求められる精度
  • 現場座標に合わせる必要があるか

  • ターゲットを設置できるか

  • 対象物に点群マッチングに使える特徴があるか

  • 点群同士のオーバーラップを確保できるか

  • 現場作業と後処理のどちらに時間を配分できるか

これらを踏まえ、後方交会法、点群マッチング法、ハイブリッドレジストレーションを使い分けます。

確実性を優先するなら後方交会法

現場の基準座標に確実に合わせたい場合や、成果データの位置を明確に管理したい場合には、後方交会法をはじめとするターゲット方式が適しています。

例えば、現況データから図面を作成する場合や、平坦性などを確認・検査する場合には、座標基準に基づいてレジストレーションできることが重要です。

ターゲットを用いるため準備や視準の作業は必要ですが、今回の検証でも後方交会法が最も良好な結果となりました。

精度と確実性を優先し、ターゲットを設置できる現場では、有力な選択肢であり続けます。

精度と効率のバランスを求めるなら「ハイブリッドレジストレーション」

現場座標に整合したデータが必要である一方、すべてのスキャン位置でターゲット計測を行うのが難しい場合には、ハイブリッドレジストレーションが候補になります。

用途例としては、進捗管理や内装設備の設置状況の確認などが挙げられます。

ただし、これらの用途で必ずハイブリッドレジストレーションを使用すべきという意味ではありません。要求精度や対象物の特徴、スキャン位置のつながりを確認したうえで選択する必要があります。

ハイブリッドレジストレーションは「常に最適な方法」ではなく、後方交会法の確実性と点群マッチング法の作業性を両立させたい場合の選択肢の一つです。

楽に素早く測りたいなら「点群マッチング」

現場座標に合わせる必要がなく、空間の状況を素早く記録・共有することを重視する場合には、点群マッチング法が適することがあります。

ターゲットやプリズムの設置を省けるため、現場での準備作業を減らしやすいことが利点です。

一方で、対象物の特徴や点群のオーバーラップが不足していると、良好な結果を得られない可能性があります。

今回の検証では、ループを設けずに処理した場合の誤差平均値が6.2mmだったのに対し、ネットワーク状のリンクを作成した場合は1.6mmとなりました。

このことからも、点群マッチング法では「スキャンするだけ」ではなく、計測段階からレジストレーションを意識してスキャン位置を計画することが重要だと分かります。

確実性と効率性を両立する「ハイブリッドレジストレーション」

確実性と効率性を両立する「ハイブリッドレジストレーション」

今回の検証では、後方交会法が0.9mmと最も良好な誤差平均値を示しました。一方、点群マッチング法も、ループの形成やネットワーク状のリンク作成によって、誤差平均値が6.2mmから1.6mmまで改善しています。

さらに、後方交会法で求めたスキャン位置を追加したハイブリッドレジストレーションでは1.0mmとなり、今回の検証条件では、後方交会法に近い精度が得られました。

後方交会法は、ターゲットを基準に確実で安定したレジストレーションを行える反面、ターゲットの設置や視準などの作業が必要です。点群マッチング法は、こうした現場作業を減らせる可能性がある一方、対象物の特徴や点群の重なり、スキャン配置によって結果が左右されます。

ハイブリッドレジストレーションは、この両者の特性を組み合わせた手法です。要所では後方交会法によって現場座標との整合性を確保し、その間のスキャンを点群マッチングでつなぐことで、確実性を保ちながら、現場作業の効率化を図りやすくなります。

もちろん、すべての現場で今回と同じ1.0mmの精度が得られるわけではありません。点群マッチングを有効に機能させるには、隣接する点群のオーバーラップを確保し、ループやネットワーク状のつながりを意識してスキャン位置を計画する必要があります。また、測定対象に十分な特徴点があるかを確認し、レジストレーション後の精度を検証することも重要です。

こうした条件を踏まえれば、ハイブリッドレジストレーションは、高精度な成果を確保しながら、ターゲットの設置や計測に伴う負担を抑えたい現場において、有力な選択肢となります。

トプコンでは、これらの特性を踏まえ、確実性と効率性を両立させる「ハイブリッドレジストレーション」の活用を提案しています。

成果物に求められる精度や現場の状況を確認したうえで、後方交会法を適用する位置と、点群マッチングでつなぐ範囲を適切に設計することが、高品質かつ効率的なTLS計測につながります。

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ニュース

イベント

Start Date
2026/08/26
End Date
2026/08/28
Event Details

日程:2026年8月26日(水) ~ 28日 (金)10:00~17:00

会場:インテックス大阪(6号館A 22-40、23-36)

主催:RX Japan株式会社

Tag
  • 展示会
  • 来場型
  • 建築
  • 土木
URL
/content/topcon-pa/jp/ja/events/2026/japan-build-osaka.html
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