i-Construction(アイコンストラクション)とは
国土交通省による生産性向上を目的としたICT技術活用の取り組み
国土交通省主導のもと、建設現場における生産性を向上させ、魅力ある建設現場を目指す取り組みが2016年度よりスタートしました。
現在では、様々な課題への改善を図りながら、より良い仕組みの構築に業界全体で取り組んでいます。
今後は、地方自治体におけるICT活用拡大や、中小企業への展開のための支援を通じて、i-Constructionの普及を推進します。
i-Constructionとは
国土交通省が推進するi-Constructionは、全ての建設生産プロセスでICTや3Dデータ等を活用し、2025年までに建設現場の生産性を20%向上を目指す取り組みです。
建設現場の生産性を向上させることで企業の経営環境を改善し、建設現場で働く人々の賃金水準の向上、安定した休暇の取得、安全な現場など、建設現場の働き方改革の実現を目指します。
i-Constructionの目指すもの
一人一人の生産性を向上させ、企業の経営環境を改善
建設現場に携わる人の賃金の水準の向上を図るなど魅力ある建設現場に
建設現場での死亡事故ゼロに安全性の向上
「きつい、危険、きたない」から「給与、休暇、希望」を目指して
トプコンの“ICTワンポイント解説”
i-Constructionはなぜ必要なの?
建設産業が直面している大きな課題として、担い手(技術者・後継者)の確保が深刻な状況になっています。
他の産業に比べても平均就業年齢の高い建設産業ですが、技能労働者約340万人(2014年時点)のうち、約1/3にあたる約110万人が今後10年間で高齢化等により離職することが想定されています。
人材確保に奔走しても現在と同水準の労働力確保は困難であると想定した際の対策を講じることが必要となります。
少人数で同等の業務をこなすには、業務の機械化・自動化・効率化を図る必要があるのです。
トプコンの“ICTワンポイント解説”
日本の建設産業の生産性は低いの?
全ての生産性が低いわけではありません。
国土の環境として山間部の比率の大きい日本では、トンネルや橋梁などの建設技術は世界有数であり、機械化や自動化、効率化が図られています。
一方、土工の分野においては広大な面積を施工する必要性の高い欧米の方が効率化が進んでいます。
日本では優れた職人の技術によりカバーされてきましたが、今後は職人の技術をカバーする機械化を進め、生産性を向上させる必要に迫られています。
同時に人口減から国家予算全体が減少することを前提に収益性の向上を図る必要もあり、生産性の向上を図ることは避けられないのです。
3つのトップランナー施策
ICT技術の全面的な活用
規格の標準化(コンクリート工)
施工時期の平準化
加速するICT技術の活用推進
新基準および積算基準の整備
ICT活用工事の発注方式実施
地方自治体・整備局におけるICT活用工事促進
ICTに対応できる人材の育成
産官学連携の強化(i-Construction推進コンソーシアム設立)
トプコンの“ICTワンポイント解説”
i-Constructionを推進する意義は?
建設産業が抱える課題を解決するには生産性の向上が必要ですが、その手段としてi-Constructionが導入されました。
建設現場の生産性20%向上を目指して開始されたこの施策は、国の示す施工手法であり、トプコンはこうした考え方に対応し、i-Constructionに定義されている・いないに関わらず、業務の生産性を向上させる手段を積極的に導入していくために皆様をサポートいたします。
施工プロセス全体の最適化
起工測量
設計
施工
検査・維持管理
トプコンの“ICTワンポイント解説”
3Dデータの活用がICT技術導入の第一歩
i-Constructionにおける施工プロセスでのポイントは、3Dデータの活用です。
従来のような平面の設計図を用いた作業に対し、i-Constructionでは起工測量から設計、施工、検査・維持管理の全プロセスを3Dデータで一貫して活用することが大きな特徴となっています。
3DデータはICT技術に応じた製品の活用とも連携し、飛躍的な作業効率向上に繋がります。
ICT技術活用の第一歩には、3Dデータの作成が不可欠です。
起工測量
面計測による起工測量
- ① 基準点の設置・確認、杭の復元
- ② 標定点設置(UAV使用の場合)
- ③ 3次元現況計測
従来の手法では、必要最低限の地形や地物の変化点を計測し、平面図や断面図などの2次元図面による管理が行われてきました。
i-Constructionでは、高密度な点群データを計測し3次元モデル化、「面」として地形を捉え、よりリアルに現況を把握できます。
これにより、現場にマッチした3次元設計を行うことが可能で、工事の生産性の向上につながります。
「面」データの取得には、まずトータルステーションやGNSS測量機で現場の基準点や標定点を設置することから始まります。計測には、3DレーザースキャナーやUAVなどを用いて点群を取得します。
設計
3次元設計図面作成
- ① 点群データ処理
- ② 3次元設計データ作成(2次元設計図面からデジタル3次元化)
- ③ 3次元設計データと3次元現況データの差分から施工量(切土/ 盛土)を自動算出
- ④照査・設計変更
i-Construction では、3次元設計データが必須となり、2次元設計図面から3 次元化が求められます。
3次元の現況データと3次元設計データがあれば、差分の比較が容易で、切り盛り土量を視覚的に表現できます。
これにより、精度の高い設計との照査が可能になります。
施工
ICT施工
- ① ICT 建機による施工
- ② 3次元設計データとの比較による出来高管理・進捗管理
・3次元測量データによる出来高管理
・ICT 建機の施工履歴データによる出来高管理
i-Construction では、GNSS測量機やトータルステーションによる位置情報から建機のブレードやバケット位置を算出し、3次元設計面とリアルタイムに比較できるICT建機を用いて施工します。
ICT建機には、設計面とブレードまたはバケットの位置の差を表示するマシンガイダンスと、比較差分からブレードまたはバケットの位置を自動的に油圧制御するマシンコントロールがあります。
ICT建機を使用することにより、施工品質の安定、施工効率の向上、熟練者不足の解消など様々な効果があります
検査・維持管理
面管理による検査
- ① 3次元出来形計測
- ② 3次元の設計データと出来形計測データの差分から出来形ヒートマップを作成
- ③ 電子納品
- ④ 工事完成時の実地検査
- 従来の出来形計測は、特定の横断面上で設計データと施工後の差分を調べるもので、レベルやテープによって行われていました。
- i-Constructionでは、出来形と設計データとの差分比較を「面」で行います。この作業はトータルステーションやGNSS測量機のほか、3DレーザースキャナーやUAVを用いて点群データを取得し、出来形の良否を色別に表現したヒートマップで管理します。
- 納品は、電子データを成果物として納品します。
道路補修(ICT切削オーバーレイ)
- ① 3次元現況計測
- ② 3 次元計測データと、完工時の出来形または設計の差分から切削・舗設
道路や橋梁、トンネルなどの維持管理にもICTを活用します。例えば、道路は経年劣化により修繕工事を繰り返す必要があります。
切削オーバーレイのICT化により、道路メンテナンスの生産性を向上させることができます。
トプコンのICT技術活用への対応
i-Construction を始めるには
STEP 1
ICTはじめの一歩 ~3Dデータの作成と利用~
平面・縦断・横断図といったデータから3D設計データを作成することで、現場のICT化の第一歩を踏み出せます。
簡易なワンマン測量機と3D設計データを入力した専用コントローラの組み合わせは、従来の測量よりも直感的に分かりやすく、簡単な誘導による杭打ちが可能となり、現場の生産性アップを図れます。
STEP 2
本格的な3Dデータの利活用 ~現況を“面”で把握~
従来は“点”を計測するに過ぎなかった測量が、3DレーザースキャナーやUAVによる点群データの取得により、現況を“面”として把握できます。
現場の点群データを取得すれば、どこでも好きな箇所の計測結果が得られるため、現場への行き来も減って生産性向上に繋がります。
STEP 3
ICT建機の運用 ~丁張なしのICT施工~
3DデータによるICT建機の運用により、丁張なしで施工が行えます。重機オペレーターは、3Dデータを参照しながら施工を行うことで、従来発生していた手戻りを大幅に削減し、安全性の高い作業が可能です。
活用事例
ICT技術を活用したお客様の成功事例を多数ご紹介しています。
ICT技術の「普段使い」を行うことで、生産性向上に加え、会社のプレゼンス向上や働き方改革、モチベ―ションの向上など、様々な効果を生んでいます。
ICT技術の導入に踏み出すためのヒントがここにあります。ぜひご覧いただき、皆様の業務にお役立てください。
株式会社大竹組様
(徳島県)
大竹組を変えたICTイノベーション
杭ナビを導入後、更なる効率化を考え3次元化に挑戦。ICT化の恩恵として人材育成と働き方改革にも繋がり、今では若手社員が活き活きと働く魅力ある環境に変化した。
平賀建設有限会社様
(山梨県)
小規模現場へのICT施工活用
杭ナビの導入から小規模現場での効率化を推進し、ショベルのガイダンスや構造物設置などワンランク上の現場を目指した。
株式会社川原建設様
(大分県)
すべては、人と地域のために
i-Constructionから更に進んだCIMへの取り組みを行う。3次元データを積極的に活用することで若手社員や女性社員が活躍する。
関連情報
※出典:国土交通省ホームページ
※ i-Constructionは、国土交通省国土技術政策総合研究所の登録商標です。